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_矢_____口_____不_____足_(羊)

1 :ロベルト・カルロス:02/11/23 19:08 ID:VaGpZndd
矢口メーターのテンプレート
EMPTY ■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□ FULL
 ♪
   ⊂ノノハハ()) ♪ < イヤッホ〜イ!!
♪  (〜^◇^〜)     チェケラッチョ〜!
__○___ξつヾ_
|   DJマリー    |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
現行狼スレ パート20
http://ex2.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1036595815/l50
避難所 モー娘。(矢口)
ttp://jbbs.shitaraba.com/music/2319/
やぐろだ
ttp://isweb45.infoseek.co.jp/art/sexymari/cgi-bin/imgboard.cgi

羊でも矢口が不足中


2 :名無し:02/11/23 19:10 ID:s0Y39az/


3 :エロギャル:02/11/23 19:12 ID:7q/B3xyW
かわいすぎてエロすぎて萌え萌え

http://www.pink1.com/
http://www.pink1.com/

4 :名無し募集中。。。:02/11/23 19:18 ID:8rP0G1Yr
矢口不足って初めて言ったの俺だし

5 :名無し募集中。。。:02/11/23 19:19 ID:dn+SEzSQ
∋oノハヽo∈
 (〜^◇^)<やぐやぐ♪

6 :名無し募集中。。。 :02/11/23 19:21 ID:IFraxpCZ
>>1
おめ!

7 :名無し募集中。。。:02/11/23 19:23 ID:zmUJSF5s
矢口不足って初めて言ったの俺だし

8 :名無し募集中。。。:02/11/23 19:24 ID:vLB53kkw
日本初の精神病アイドル矢口萌え

9 :名無し募集中。。。:02/11/23 19:26 ID:irKCOh16
矢口不足って初めて言ったの俺だし


10 :ロベルト・カルロス:02/11/23 19:35 ID:VaGpZndd
矢口があまりにもかわいいから俺がスペインからスレを立てる羽目になった

けどちっとも苦にならない

11 :松浦主任 ◆irAYAYAAoA :02/11/23 19:36 ID:JVnvU6C+
>>1

ヒヤキポリネキセサナモペ共和国

12 :名無し募集中。。。 :02/11/23 19:46 ID:JqQfM2sM
>>8
禿同
日本初の精神病アイドル矢口ばんざーい!

13 :名無し募集中。。。:02/11/23 21:31 ID:nOyuJgws
4 名前:名無し募集中。。。 投稿日:02/11/23 19:18 ID:8rP0G1Yr
矢口不足って初めて言ったの俺だし

4 名前:名無し募集中。。。 投稿日:02/11/23 19:18 ID:8rP0G1Yr
矢口不足って初めて言ったの俺だし

4 名前:名無し募集中。。。 投稿日:02/11/23 19:18 ID:8rP0G1Yr
矢口不足って初めて言ったの俺だし

4 名前:名無し募集中。。。 投稿日:02/11/23 19:18 ID:8rP0G1Yr
矢口不足って初めて言ったの俺だし

4 名前:名無し募集中。。。 投稿日:02/11/23 19:18 ID:8rP0G1Yr
矢口不足って初めて言ったの俺だし

4 名前:名無し募集中。。。 投稿日:02/11/23 19:18 ID:8rP0G1Yr
矢口不足って初めて言ったの俺だし


14 :名無し募集中。。。:02/11/23 21:32 ID:CrCWkjjp
狼の_矢___口___不___足_2を立てたのは漏れ

15 :最高矢口:02/11/23 21:48 ID:VBM3oYf5
矢口最高

16 :矢口パパ:02/11/24 00:09 ID:0OwBICk6
とりあえず、ミニマム矢口復活させてくれ
高橋ラブリー寒痒くてヤダ

17 :名無し募集中。。。:02/11/24 04:04 ID:TlpTi7p7
羊にもたったか…
とりあえずカキコ

地方人なので慢性矢口不足でつ

18 : :02/11/24 16:01 ID:Z3xppbdj
矢口は史上最強

19 :名無し募集中。。。 :02/11/24 16:15 ID:0etI/4k2
>>18
そうは思わんが、身長1cmあたりだったら、そうかもしれないね。

20 :名無し募集中。。。:02/11/24 16:23 ID:M75zIRL/
>>16

 禿 同 !

俺はやぐパパじゃないがあの部分だけ動画化して楽しんでいたりする
当然酒の肴には充分過ぎるわけで・・・

21 :ぴょ〜ん星人がまた見たい:02/11/24 16:56 ID:dMLpkTOK
ミニマム矢口最高です!!!
(特にドカタのおっさん姿!)

22 :1:02/11/24 17:26 ID:uZGYTYTD

糞  ス  レ

23 :記念カキコ:02/11/24 17:48 ID:R2dshC0+
EMPTY ■■■■■□□□□□ FULL

初めてのお仕事で補給できなかった・・・


24 :名無し募集中。。。:02/11/24 21:13 ID:b9QEygkR
ヤグ最高

25 :(〜^◇^)<やぐやぐ♪:02/11/25 14:07 ID:WY0TxFIE
とりあえず羊版スレおめ!

26 : :02/11/25 17:17 ID:Ji7+yoZI
ヤグソ

27 : :02/11/26 00:31 ID:x+u8+YpS
あげてみるやぐ

28 : :02/11/26 21:30 ID:OclHC38J
やぐやぐ

29 : :02/11/27 00:34 ID:fxf0RmLn
>>20
俺も3部作として楽しんでます。
早く新作を!!

30 :名無し募集中。。。:02/11/27 03:47 ID:JvtAr40r


31 :名無し募集中。。。:02/11/27 08:47 ID:v8EFXXxt
>>21
ドカタのおっさん姿はラジオでそれを自分で見た矢口が照れながらコメントしてるので
それを脳内で補完しながら楽しんでるよ

32 :ロベルト・カルロス:02/12/01 17:17 ID:C8CB3yFw
どうやら羊にはヤグヲタがいないみたいだな

残念だがこのままdat落ちしよう

短い間だったが書き込んでくれたみなさんありがとう

アディオス。トヨタカップは絶対もらうぜ

33 :名無し募集中。。。 :02/12/02 04:03 ID:7b/QEOGI
 

34 :名無し募集中。。。:02/12/02 20:44 ID:+sbLh2nN
ロベカルヲタか・・・

35 :名無し募集中。。。 :02/12/04 05:40 ID:2rjczjvy
age

36 :名無し募集中。。。:02/12/04 06:05 ID:IhmnFiYT
 

37 :名無し募集中。。。:02/12/07 14:50 ID:h5lZscS0
ヤグTVでミニモニ。歌って欲しい

38 :名無し募集中。。。 :02/12/08 14:45 ID:kjGTovnB
やぐ萌え

39 :名無し娘。:02/12/08 23:31 ID:SYyWX/LD
コソーリ小説を書きます。

40 :名無し娘。:02/12/08 23:33 ID:SYyWX/LD
「ピエロ」

この物語はフィクションである。

41 :序章:02/12/08 23:35 ID:SYyWX/LD

(1)
 兵頭ゆきや森高千里・シャ乱Q・モーニング娘。・ソニンなど数々の芸能人のマネージメントを勤め、
辣腕マネージャーの名声を欲しい侭にした和田薫は病床にあった。
 和田を見舞っているのは、上司であり、最大の理解者である、山崎直樹一人であった。山崎は和田の
経営する芸能事務所の親会社たる大手芸能プロダクション・アップフロント・エージェンシー(UFA)
の会長である。病室から人払いを済ますと、和田は口を開いた。

「これより後は七難八苦が待ち構えていると存じます。会長はそれを抱え込むおつもりでしょうか」

 自分なくして、魑魅魍魎が跋扈する芸能界で、UFAが生存することはできないといっているのである。
この言葉の奥には、和田薫の強烈な自負がある。この芸能プロダクションに人多しといえど、自分をお
いて、これから先の困難を乗り切ってゆける者はいないという意識である。事実、それだけの力を和田
は持っていた。
 だが、和田亡き後、山崎らは事態をどう乗り越えたらよいのか。

「君がいないとアップフロントは生き残れないか……」
「寺田君をお使いくださいませ」
 寺田とは、アイドルグループ・モーニング娘。など、UFA所属タレントの多くのプロデュースを手が
ける敏腕プロデューサー・つんくこと寺田光男である。
「……寺田君を使うべきか……」
「…………」


42 :序章:02/12/08 23:36 ID:SYyWX/LD

(2)
 無言が続いていた。
 周囲の人間から見ると、この二人は反目しあっているのではないか思えるほど、対話が少なかった。
そのせいか、確執説を唱える芸能関係者は多かった。だが真相は違う。
 山アと和田は親密な関係だった。和田の忠節ぶりは山崎一辺倒といってよい。山崎もそれに応えてい
た。この二人の仲は、上司と部下というより親友に近い。お互いに相手の考えが手に取るようにわかっ
ているので、まるで禅問答のように口数が少ない。

 同じく山崎側近にいた瀬戸由紀男が、後日知人に語ったところによると、モーニング娘。の六枚目の
シングル『ふるさと』の売上が思いのほか低調で、山崎らが楽曲の大幅な路線変更を検討しようとして
いた時、売上の数字を入手した夜の十時ごろに、和田は山崎宅に電話したが、山崎は既に寝室に入って
いた。和田は電話口で咳払いを一つして、
「お早いお休みで」
といったという。
「何の用だ」
「モーニング娘。の楽曲をどうなされますか」
「私もその事を考えている」
「それで安心致しました。失礼致します」

 そのまま和田は電話を切り、山崎もそれ以上一言も云わなかったという。山崎はこの後、モーニング
娘。のアレンジャーにダンス☆マンを起用し、彼の編曲による楽曲『LOVEマシーン』を七枚目のシング
ルとして売り出し、大ヒットさせたことは周知の通りである。それほどの大事についての山崎と和田の
打合せが、たったこれだけだったというのである。二人の意思の疎通の早さ、思うべし、とでもいうべ
きであろうか。


43 :序章:02/12/08 23:37 ID:SYyWX/LD

(3)
「先程の話とも重なるのですが……」
 その和田が重い口を開いた。
「寺田君をお呼び出しくださいませ」
「寺田君にもあの事を伝えるのか?これは君と私が墓場まで持っていったほうが……」
「いいえ。いずれ寺田君にも話さねばならないと思います」
 山アは、やや離れた場所で打合せをしているつんくを、携帯電話から呼び出した。

 三十分もしないうちに、つんくが病室にやってきた。和田は、つんくの姿を認めると、挨拶の言葉もなしにいきなり云った。

「呪われた娘を手の内に」
 その目が厳しくつんくを見つめた。
「呪われた娘が……」
 山アとつんくは沈黙を守った。

「アップフロントに福音をもたらすか、滅びをもたらすかは……」
 この言葉を最後に、稀代の名マネージャー・和田薫は二度と沈黙を破ることはなかった。
 和田の遺言を、山アとつんくはどう受け取っただろうか。


44 :序章:02/12/08 23:38 ID:SYyWX/LD

(4)
「私は呪われた子なんでしょうか?」
 新垣里沙は呟いた。
「そんなことないよ。新垣ちゃんは頑張ってる」
 シーフードピザにペッパーを掛けながら辻希美が答えた。
「頑張ってるんですけど……、報われていないんです。ファンの人たちは私のことを嫌いみたいで」
 新垣は吐き出すように云った。
「嫌ってなんかいないよ」
 辻はピザを切れ目から切り離す動作を止めて答える。

「喉かわいてない?ジュースを買いに行こう」
 紺野あさ美は、隣りの席の高橋愛に小声で話し掛けた。
「べつにいいけど」
 怪訝な顔をした高橋が答えると、紺野は高橋の腕を掴んで、席を立った。ジュースの自動販売機は彼
女たちのいる部屋の外にあるのだ。

「喉かわいてないのに、なぜ?」
 高橋は自動販売機で清涼飲料水を買い終えると、紺野に尋ねた。紺野はジュースなど欲しくないのに、
突然自分を買いに誘ったのはなぜかと訊いているのだ。
「ジュースじゃないんだ」
 高橋はより怪訝な顔をする。
「私たち二人がいると、里沙ちゃんが気にするかと思って、」
 紺野は続ける。
「好きなだけ話させてあげたかったんだ」
 高橋はやっと合点がいった。紺野は新垣に気を使ったつもりなのである。
「あの子は繊細だから仕方ないね……」
 高橋はため息交じりに答えた。


45 :序章:02/12/08 23:39 ID:SYyWX/LD

(5)
 新垣たちはあるアイドルグループのメンバーである。このグループには面白い習慣があって、その日
の仕事が終わるとメンバーが一堂に会してミーティングを開く。結成以来、このしきたりは破られたこ
とはない。この日も、テレビのバラエティ番組の収録後に反省会をもった。滞りなく議題が消化され、
各自が意見や感想を述べ合うと、会はお開きとなった。その後は、そのまま自宅に帰る者、食事に出か
ける者、その場に残って出前を注文する者と様々であった。予め持ち込んだ菓子を広げる者もいた。こ
の日、反省会の場に居残っているいる者は六人であった(当時メンバーは計十三人である)。

「私が初めてコンサートのステージに立ったとき、」
 新垣はすがり付くような顔をして語り始まる。
「『コネガキー!』と叫んだ人がいました。次のステージでは、私のMCのときだけ、わざと後ろを向く
人がいました。その次も、そのまた次もこんな感じでした」
「変な噂に踊らされている人を気にしちゃ駄目だよ」
 辻は幼い妹を諭すような口調で答える。

「はい。わかっています。そのうちみなさんも誤解に気が付くと思って耐えてきたんです。二か月くら
い我慢していると、誰も私にブーイングすることはなくなりました」
「ほら、誤解なんだってば。でも、なんで突然こんなことを言い出したの?」
「私がトレカを集めてるのは知ってますよね?」
 トレカとは、このアイドルグループの写真がデザインされたトレーディングカードを指す。新垣は、
以前からこのグループのトレーディングカードを収集しており、自身がそのグループのメンバーになっ
てからもその趣味を続けていたのだ。


46 :序章:02/12/08 23:40 ID:SYyWX/LD

(6)
「トレカがどうしたの?」
「昨日、トレカを買おうとして近所のお店に行ったら、小学生の男の子が、どの袋のトレカを買おうか、
友達の子と一生懸命考えていたんです。結局、その子たちが一番下のトレカを買ってくれたんで、私、
嬉しくなってこっそりその子たちの後をつけました」
「それからどうなったの?」
「お店の外に出ると、男の子は嬉しそうに袋を開けました。そうしたら、袋の中から私のカードが出て、
要らないからお前にあげるって言ったんです。そうしたら、連れの子も要らないって言って、私のカー
ドをごみ箱に捨ててしまいました」
「きっと、その子たちは新垣ちゃんのカードを持っていたんだよ」
 辻は慰めるように話す。

「同じカードを持っていただけならいいんですけど……」
 新垣は続ける。
「その子たち、コネのカードなんか欲しくないって言ってたんです。とどめに、こいつ一人だけ消えて
欲しいよなあ、なんて言ってました。私、ブルーです」
 この饒舌は何だ、と辻は思う。気の昂ぶり以外の何者でもない筈だ。その証拠に次第に喋り方が早くなっている。


47 :序章:02/12/08 23:42 ID:SYyWX/LD

(7)
「私、頑張っていますよね!?なのに、なのに、どうしてこんなにいじめられなくっちゃいけないんで
すか!?」
 新垣の目には光るものが溢れていた。

「私がブスだからとか、歌が下手だからって叩かれるんだったらわかります。でも、コネだとかお金を
積んで入ったとか謂れのないことをいわれるのはもう嫌です!!」

「里沙ちゃん、もうやめなよ……愚痴はいくらいっても……」
 新垣とは同期生になる小川麻琴が洩らした。
「好きなだけ話させてあげようよ」

 小川の肩に手を乗せながら、隣りの席に座っている辻希美が囁いた。
「ご、ごめんなさい」
「いいんだ、新垣ちゃん。どんどん話してよ。いくらでも聞いてあげるから」

 テーブルの上にあるシーフードピザとフライドポテトはすっかり冷めていた。コールスローサラダは
干乾びていた。紙コップに注がれたジュースはもう温くなっている。袋のまま詰まれたスナック菓子に
至っては封を切られてすらいない。これらの食べ物は、辻が自分で食べるために用意したものだが、辻
はほとんど手をつけていなかった。新垣の話を聞くのに専念していたからだ。
 新垣は依然として話し続ける。辻は真剣な表情で聞いている。


48 :序章:02/12/08 23:44 ID:SYyWX/LD

(8)
<大食いの辻ちゃんが食べ物に目もくれないで話を聞いている>
 辻と新垣のやり取りを一部始終聞きながら、吉澤ひとみは思った。これは辻希美の特技ではないか。
他人の話に聞き入り、相手の話す問題が、自分にとっても世界の重大事件であるかのような表情で頷く
のである。そうしているうちに、辻に話している相手は、返答を待つまでもなく自分なりの答えを見つ
けることも多い。辻が真剣に話を聞いているだけで満足するのだ。なるほど、辻が多くの人々に愛され
るのもむべなるかなと。このグループの他メンバー、雑務を取り仕切るスタッフ、テレビ局の製作担当
者、雑誌記者など辻を悪く云う者はいない。だから、辻はこのグループでも派生ユニットでも一度もセ
ンターを取ったことがないにもかかわらず、主力メンバー級の扱いを受けてきた。こうした辻の態度は
ファンにも伝わるのか、ファンにも愛された。

 そんな辻が口を開いた。
「もしかしたら、新垣ちゃんは本当に呪われているかもしれない。でもね、新垣ちゃんは、新垣ちゃん
の仕事をしていればいいと思うんだ。スマイルスマイルでね。呪いなんか笑い飛ばしてやろうよ」

 ここで辻は変な顔をした。隣りにいた小川が吹き出した。吉澤は声を立てて笑い出した。
「本当に変な顔……」
 新垣もくすっと笑った。表情が目に見えて明るくなっている。現金なものだった。だが、当面はそれ
でいい。

 そう。あくまで当面は、だ。本当は、新垣に関するネガティブな噂がなぜ執拗に出るか見極めないと
解決にならない。噂の発信源を調べたいが、自力で調べることは不可能だ。
 自分たちでは太刀打ちの出来ない、何か巨大な力が絡んでいそうだ。
 辻の心中は顔とは裏腹に、暗鬱としていた。


49 :第一章:02/12/08 23:46 ID:SYyWX/LD

(1)
 それから数年がたった。

 外では冷たい雨が降っている。
 朝には、叩き付けるような激しさだったのが、一時小降りになり、今では再び激しさを増し、雨音は
単調ではない微妙な合奏になっている。

 女性デュオ・ミラクルボイスは唄っている。

 熱い光線を浴び、二人の汗の出るさまは滝のようだ。
 ファンたちの歓声、音響機器が発する音が、耳を破りそうに鳴り響いている。その中で二人の歌声が、
腹の底にこたえる頼もしさと力強さをもって響き続けていた。


50 :第一章:02/12/08 23:48 ID:SYyWX/LD

(2)
 「ミラクルボイス」という名のこの女性デュオは、AIとRIKAと名乗る二人の女性で構成されている。
二人は、かつて、あるアイドルグループに所属しており、そのグループから脱退した後、ある者の推挙
で、事務所を移籍し、このユニットを結成したのである。

 ミラクルボイスは奇妙なユニットだった。一流の作曲家に依頼したメロディーに、やはり一流のアレ
ンジャーに依頼したサウンドを聞かせ、B=M=アローという正体不明の作詞家の詞を乗せ、AIとRIKAにヴォー
カルをとらせた。
 この二人の歌唱には不思議な魅力があった。清楚な、雑然とした現代ではありえないようなロマンチッ
クなモードを歌ったかと思えば、物憂くけだるく、どんより淀んだ都会の日常を歌い上げる。楽しげな
歌声で、すべてを明るく変えてしまう、可愛らしい妖精のような幻想的な一面を見せるかと思うと、抑
揚のない歌声で、聴く者を息苦しく眠くさせ、死に追いやるのではないかと思わせるような一面を披露
する。変幻自在で、捉えどころがなかった。こんなところは文字通り、奇跡の歌声としかいいようがな
い。この二人は、アイドル時代には、必ずしも歌唱力を評価されていなかっただけに、世間はなおさら
ミラクルボイスに夢中になっていった。

 AIとRIKAの持ち味を引き出しているのは、二人のパフォーマンスや、楽曲のメロディやサウンドもさ
ることながら、二人の唄う歌の歌詞に拠るところが大きい。平易な語彙で情景を描いていく。だが、そ
の何気なさの中にひそんでいる美と恐怖を、鮮やかに切り取る鋭さを感じさせる。なにか、ミラクルボ
イス専属の作詞家・B=M=アローの情念が肌身に迫ってきそうだ。


51 :第一章:02/12/08 23:50 ID:SYyWX/LD

(3)
 このB=M=アローという人物について、詳しいプロフィールなどは公開されていない。この作詞家は何
者だろうか。勿論ペンネームである。作品の出来があまりに素晴らしさから、名だたる作詞家が変名を
使って書いているのではないか、と人びとは噂した。

 だが真相は違う。B=M=アローは、ミラクルボイスの所属事務所たるヤグチオフィスの社長・矢口真里
のペンネームである。世間は、このアイドル上がりの芸能プロダクション経営者に、作詞など出来るわ
けがないと思い込んでいたので、この作詞家が矢口だとは想像することすら出来なかった。

 かつて、矢口はあるアイドルグループのメンバーであった。このグループは、矢口が脱退するころに
は、バラエティ色が強くなってしまっていたが、元来はコーラスを売り物にしているグループで、メン
バーのアーティスト志向が強かった。そのせいか、各々のメンバーは作詞・作曲を密かにおこなってい
た。そのグループは、プロデューサーが楽曲の作詞と作曲を一手に担当しており、その必要はなかった
にもかかわらず、である。

 矢口もアイドルとしての活動の忙しさの合間を縫って、詞を書き溜めていった。当時、矢口がどのよ
うな詞を書いていたか、その全貌を知ることはいまや不可能だ。だが、どうも、まだ青臭く、頭でっか
ちな詩を書いていたらしい。時折、テレビ番組やラジオ番組の企画で、矢口は自作の詩を披露していた
が、とても人前に出せる代物ではなかった。当時の流行からの剽窃。有名な小説からを安易に引用。し
かも、これらが未消化で、表現が作詞家の血肉になっていない。独創性がゼロと断じられても仕方がな
かった。矢口が詞を書けなかったのは、所詮人と世の中について暗かったためかもしれない。

 その矢口が、いまとなっては世人をうならすような詞を書くのだ。矢口が現役を退いてから久しい。
その年月が彼女を変えたのだろうか。それだけではあるまい。凡庸な詞しか書けない少女が、名作詞家
へと変貌したのには如何なるドラマがあったのか。


52 :第一章:02/12/08 23:51 ID:SYyWX/LD

(4)
 コンサートの会場となった市民ホールは超満員の観客で埋まっていた。観客全員を酔わせ、狂気にと
りつかせるのが二人の仕事である。唄うだけで酔わせることが出来なければ、歌い手は浮き上がること
になり、確実にコンサートは失敗する。ファンに自分の熱と狂気を伝染させねばならない。ミラクルボ
イスの音楽に燃え上がらせなければならない。すべてはAIとRIKAの気力にかかっていた。
 二人の気力は充分に充実している。頭の中にはこの場で燃え上がる思いだけがぶんぶん音を立ててい
る。他のものは一切消えていた。
<この調子だけを外さずに唄い続ければいい>
 矢口はいつかそんな気になっていた。

 スタッフ席で二人を見守る矢口真里がたった一つだけ気にしているのは、ミラクルボイスは活動を始
めてからまだ日が浅いということだった。これはどう仕様もない。初めてのツアーなのだから。AIと
RIKAにも嘗て満員の観客を悉く熱狂させた時期があった。二人は国民的アイドルと呼ばれたグループの
メンバーだったのである。だが第一線から退いてから随分経った。観客の大半は、二人のアイドル時代
の熱狂を知らないだろう。知っていても忘れているかもしれない。アイドル時代の遺産など、今更通用
しないのである。AIとRIKAは自らの喉一つで観客を酔わせなければならなかった。それでも今コンサー
トが盛り上がっているように見えるのは、二人の血を吐くような修練の結果だった。


53 :第一章:02/12/08 23:52 ID:SYyWX/LD

(5)
 ミラクルボイスを結成した時、AIとRIKAの歌唱は素人同然だった。二人はあるアイドルグループの一
員だったが、そのグループにはさほど歌唱力は求められていなかった。それにそのグループは忙し過ぎ
た。昨日北海道でロケをしたかと思えば、今日は東京で記者会見をするといった具合で、スキルを高め
ようとしても、鍛錬に励む時間が取れない。だから、グループ脱退の時の歌唱力は、加入の時と比べて
も(ちなみに二人は同期生である)さほど変化がなかった。それゆえ、所属事務所社長たる矢口の当面
の課題は、何とかして二人の歌唱力をある水準まで引き上げるかという点にあった。その為にはひたす
ら練習して貰うしかない。矢口はとあるボイストレーナーに二人の指導を依頼した。この道を長くつと
め、多くの歌手を育ててきた実績のある人物である。

 老ボイストレーナーは驚いた。長年、歌手だのアイドルだのタレントだのという人種を多く見てきた
が、AIとRIKAほどひどい声をしている人間は見たことがなかった。よくもこの声でCDを出し、客前で歌
っていたのか。否、歌うことが許されたのか。何より下手糞である。その辺の音楽学校の生徒のほうが
よほど巧く歌を唄える。そして発声と歌唱の基礎が出来ていない。おそらく、基礎的な訓練も碌に受け
させて貰えないまま、ステージに立たされてしまったのだろう。アイドルとして活動中もまともなレッ
スンは受けていまい。その証拠にあちこちにおかしな癖がついている。長きに渡って、自己流の発声と
歌唱を繰り返してきたからだ。これを矯正するのは至難の業だ。白紙の状態の素人を教育するほうが楽
に思える。二人にべっとりついたアイドル時代の垢をそそぎ落とし、正しい方向へ導くのは、恐ろしく
気の遠くなることだと考えるのは自然だった。


54 :第一章:02/12/08 23:56 ID:SYyWX/LD

(6)
 ミラクルボイス二人のうち、RIKAは矢口の期待通りに成長した。まだアイドルグループにいた時分、
RIKAの悪声と音痴はファンの間で笑い種になるほどであった。それが薄紙を剥ぐようにという言葉がぴっ
たりの、驚くべき上達ぶりを見せるのだ。もうどんなステージに上げても恥ずかしくない。本来、彼女
は歌唱の才を持ち合わせていた。それを発揮できなかったのは、今まで余程放って置かれたからに違い
ない。彼女には鍛錬の機会も時間もなかった。その余裕もないほど、多忙な日々を送っていたといえる。

「こういう言い方をすると失礼かもしれませんが……」
 ボイストレーナーは切り出した。
「RIKAさんがここまでやるとは思ってもみませんでした」
「いいえ。こちらの計算通りでしたよ。あの子は根性あるし、あなたが先生ですしね」
 女社長はしてやったりとほくそえで言う。

「計算違いなのは、もう一人のほうなのですか」
「ま、まあ、見込みよりは遅れているかもしれませんけど……」
 矢口の表情が曇った。
「私はもう少し期待していたのですが……今のままでは……多少遅れてでも、社長さんのご期待に答え
るような結果を出してくれればよいのですが……こちらも最大限に努力いたしますので……」
「これからも頼みましたよ、先生」


55 :第一章:02/12/08 23:58 ID:SYyWX/LD

(7)
 矢口とボイストレーナーの悩み所はAIの伸び悩みである。何とかしないと矢口の構想は崩壊する。

 AIは歌唱に自信があった。そもそも、彼女がこの世界に入ったのは、あるオーディションで歌声を高
く評価されたのがきっかけなのだ。その後、彼女は大人気を博することになるが、その理由は必ずしも
歌唱の力のおかげばかりとはいえない。楽曲にも恵まれたし、運命の女神に愛されたこともある。だが、
本人は己の歌唱の賜物だと思っていた。矢口がAIを口説くようにしてこのユニットに引き込んだのも、
彼女の声とまだ見えない才を見込んだからだ。

 AIは自分に自惚れるあまり、レッスンに不熱心だったのではない。トレーナーの目から見れば、むし
ろ相方のRIKA以上に真面目な生徒だった。毎朝、自分が来るよりはるか前にレッスン場へやってくる。
指示した課題は的確にこなす。地味な基礎訓練も怠らない。彼女の態度は真摯そのものだった。

 だがなにかが足りない。老トレーナーの長年にわたる経験から得た直感がそう伝えていた。
 彼女の発声は日一日と良くなり、遂には矢口と老トレーナーの期待している水準を超えるかに思われ
た。だがそこまでだった。ある一転で進歩はぱたりと止まり、なんとしてもそれ以上に良くならない。
当然のことだった。だがAIは焦った。これでは不充分だった。もっともっと良い声を出さねばならぬ。
再びステージに立ち、観衆から大声援を受けるためには、人間の限界を超えた歌声を聞かせる必要があ
る。ひたすらそう信じ、無理な訓練を続けた。


56 :第一章:02/12/08 23:59 ID:SYyWX/LD

(8)
 ある晩、喉頭に激烈な痙攣が走り、息がしにくくなった。限界に達したのである。AIは絶望し、この
まま朽ち果てていくのではないか、と思った。RIKAが救急車を呼び、病院に連れて行った。医師の診察
では、何の異常も見当たらないが過労なので充分に静養するように、とのことだった。RIKAと矢口が交
代で看病した。数日で喉の痛みはとまり、呼吸は元通りに出来るようになったが、すぐさまトレーニン
グにかかろうとするAIを、珍しくRIKAがこわい顔でとめた。AIは歯牙にもかけずトレーニングを再開し
たが、報いは立ちどころに来た。今度は声が出なくなったのである。RIKAの云う通りだった。無理は禁
物だったのである。だがAIはやめなかった。かすれるばかりな声で発声練習をし続けた。意地になって
いるとしか思えなかった。

「これ以上声が出なくなったらどうするの?」
 RIKAがたまりかねて詰った。
「いい声が出ない喉ならなくなってもいい」
 AIはそう答えた。

 声はかすれの度合いを増し、最後の限界が来た。ある日、歯をくいしばって練習していると、がくん、
というような音と共に、嘗て味わったこともない凄まじい痛みが咽喉に走った。AIは危なく失神すると
ころだった。もうかすれた声すら出ない。


57 :第一章:02/12/09 00:00 ID:H0/u8xn9

(9)
<終わりか>
 AIは絶望し、部屋に戻るとすぐ寝込んだ。矢口が部屋に駆けつけたが、AIは知らない。今日までの疲
労が一気に発したかのように、只もう眠りこけた。頬をげっそり落ち窪ませて只もう眠りこけた。まる
で黄泉の国に呼ばれているかのようだった。

<ここまで追い詰められていたのか>
 AIの寝顔を見ながら、矢口はそう思った。あの時、彼女の望み通りにすればよかった。そうすれば、
ひょっとしたらユニット・ミラクルボイスの構想は潰えるかもしれないが、AIが声を失うことはない。
だが今となっては後の祭りである。


58 :第一章:02/12/09 00:01 ID:H0/u8xn9

(10)
 ミラクルボイスの二人が老ボイストレーナーの元に付けられてから数ヶ月たった頃、AIは一勝負に出
る。社長の矢口に直訴するためである。
 RIKAに差を付けられて焦っていたせいもある。老トレーナーの視線が冷たい気がするせいもある。そ
して何より、本人が歌手としての才能に限界を感じていた。とても歌で食っていく気にはなれなかった。
こんな声なのに歌が巧いと思っていた自分が羞ずかしかった。こんな自分では矢口の役には立つまい。
迷惑を掛けるばかりだ。

 矢口の仕事場のドアをノックしても返事がない。不躾だと思ったが、ノブを回すと、あっさりドアが
開いた。
 女社長は詞を書いていた。机の片隅にはカップラーメンの空容器が無造作に積まれ、床にはペットボ
トルが散らかっていた。


59 :第一章:02/12/09 00:02 ID:H0/u8xn9

(11)
「社長!」
 AIは矢口に話し掛けた。返事はなかった。矢口は詞の世界に没頭し、AIのことなど歯牙にも掛けてい
ないかのようだ。自分のことも気にしない。目の下には隈が出来、髪はぼさぼさ、勿論化粧などしてい
ない。

<この人はいくつになるのだろう>
 AIは思った。自分より五歳年長の筈だから、まだ二十代の若さである。だがその顔には幾条もの深い
皺が刻まれている。とりわけ口のまわりの皺が深く、矢口を老婆のように見せていた。
 以前の、立っているだけで、花が咲いたようにその場が明るくなる、驕慢な華やかさが、いつの間に
か影を潜めてしまった。今の矢口は、ふと気がつくと、
<かつては、アイドルだったのか>
 痺れたように打たれる、そんな女性に変わっている。

 矢口がはたと背を伸ばした。それだけでどきりとするような迫力があった。矢口は身長150センチに
も満たない小柄な女性だが(その点ではAIも同じである)、非常に大きく見えた。


60 :第一章:02/12/09 00:03 ID:H0/u8xn9

(12)
「突っ立っていないで踊りなさい」
 矢口の言葉は、切り付けるような鋭さだった。
 AIは返事が出来ないでいる。

<この人は変わった>
 AIはアイドル時代の矢口を知っている。気さくで優しかった。今は、暗い。眼の底に冷やりとしたも
のを見るように思う。そして、内に何か途方もなく恐ろしい物を飼っている気もする。それは芸能と云
う名の魔なのか。それとも魔に憑かれた矢口自身なのか。
 AIはそんな矢口が恐ろしかった。
<芸の道が人をこんなに暗くするのなら、私はごめんだ>
 腹の中でそう喚いていた。

 矢口の突き刺すような視線を受け、AIは無言のままだったが、遂に切り出した。


61 :第一章:02/12/09 00:04 ID:H0/u8xn9

(13)
 AIは重い口で、ぽつりぽつりと自分の思いを述べた。今の矢口は頭脳鋭利、すべてを見透かしそうだ。
このような人間に回りくどい弁解は不要であり、むしろ有害である。だから歯に衣着せず直截に話した。
自分は体力と気力の限界まで挑戦したこと。それにも拘らず成果が上がらないこと。なぜなら、自分に
は歌唱の才能を有していないこと。だとすれば、自分では矢口の役に立てないので、この仕事から降ろ
して貰いたいことを語った。

 女社長の反応は意外だった。

 矢口は気性の激しい女性である。感情の振幅が並の女より遥かに大きい。
 錐のように鋭い聡明さを持つ。何気ない言葉、さりげない仕草一つから、敏感に人の心を知り、即座
に反応を起こす。笑う時は大いに笑い、怒る時には感情を大爆発させる。この資質のために矢口はアイ
ドルとしてファンの人気を集めることが出来たし、引退後は芸能プロダクションを順調に運営できたと
いえよう。
 だから、AIが打ち明けたとき、矢口は、
<この若さで限界とは何だ!>
こう大声で怒鳴りつける筈だった。内心では矢口にそういわれるのを期待していた。

 ところが、矢口はAIの顔をしばらく見つめると、にこりと微笑んで、
「また歌いたくなったらおいでよ。おいらはまだ諦めないからね」
 これはどんな叱責よりもAIにはこたえた。
 いっそ面と向って大声で罵倒されたほうが気が楽だった。

 AIは魂の抜けたような顔で部屋を出て行った。
<えらいこといっちゃったな……>
 仕事場のドアがばたんと閉まる音を聞くと、なおさらAIは自分の言葉の重みを知った。
 その日の晩から今まで以上に過酷な練習を自らに課すことになる。


62 :第一章:02/12/09 00:05 ID:H0/u8xn9

(14)
 AIは眠りこけている。矢口とRIKAは只見守るしかなかった。
 朝が来た。自然に目覚めたAIは不思議そうに、部屋の中を見廻し、RIKAを見ると、
「お腹が空いたよ、リカちゃん」
「声、治ったね……」

 AIはおやっ、と思った途端に、昨日のことを思い出した。
<喉を切り取られた……>
 恐怖が襲い掛かり、AIは跳ね起きた。錯覚に過ぎなかった。咽喉は依然としてある。しかも、声はか
すれていない。気のせいか、以前より良い声が出せるような気がする。
「どういうことなんでしょう」
 AIは首を横に振った。さっぱり訳が判らなかった。部屋を出てレッスン室へ行った。一瞬躊躇ったが、
思い切って歌ってみた。嘘のように一切の痛みが消えていた。声を次第に大きくしてみた。喉に異常は
なく、高音も低音も自由自在だ。しかも以前より明らかに声の質は良くなっている。

「やった!」
 AIは叫んだ。
「やったよ、リカちゃん!」
 RIKAは床にべったりと坐りこんだまま、身も世もなく泣いていた。その手を矢口が堅く握っていた。


63 :第一章:02/12/09 00:06 ID:H0/u8xn9

(15)
 市民ホールを埋め尽くしている観客たちはそんな事情を知らない。だが、さっきの修練の結果、二人
の歌唱力は飛躍的に伸び、聴衆を魅了できるまでになった。そして、その努力を可能にした気迫を剥き
出しにしたまま、二人は唄っている。その姿は充分に感動的なのだ。だから、AIとRIKAは市民ホールに
集まった人びとを酔わせ、狂気に駆り立てることが出来た。


64 :第一章:02/12/09 00:09 ID:H0/u8xn9

(16)
 二人はよくやったと矢口は思う。否、自分の期待以上の出来だろう。正直、この二人がここまで聴衆
を惹きつけるとは思わなかった。ここまで歌で観衆を煽り立てられるとは思わなかった。AIとRIKAには
天性の華やかさがあった。アイドル時代に大人気を博したのもむべなるかな。この華やかさに歌唱力が
伴えば鬼に金棒だ。ある水準の力がつけば、このユニットは何とかなる。
 だが、歌唱力がどうにもならなければ、華やかさが宝の持ち腐れになったまま、尻つぼみで終わる。
矢口はそう計算した。ところが、二人は矢口の期待を上回るほど上達したのである。この二人は、歌に
も天才を持っていたとしか思えなかった。そうでなければ、超満員の観客を、喉一つで一斉に狂わせる
ことは出来まい。自分は二人の才能を過小に見ていたのだ。二人はアイドルに収まらない器なのだ。こ
れからも、ファンを魅了し続けてくれるだろう。
 だから、このコンサートは必ず成功する。ミラクルボイスも売れるだろう。矢口は、二人の才能と、
それを開花させた努力に感謝した。そして、このユニットを立ち上げる時に協力してくれた数かずの人
びとの尽力にも。


65 :第一章:02/12/09 00:09 ID:H0/u8xn9

(17)
 雨はまだやまない。しかもさらに激しさを増すようだ。無慈悲な、なにか恐ろしいものさえ感じられ
る。降るというより流れている。まるで大雨の洪水だ。神経も何も掻き毟るようにひっきりなしに、屋
根を騒然と鳴らしている。まるでなにか激しい感情でも持っているかのようだ。
 だが、コンサート会場の熱狂は雨に負けていない。それどころか、この雨音を伴奏にしているかのよ
うだ。

<そういえば、あの時もこんな雨の日だった>
 矢口は、かつて所属したアイドルグループでの青春の日々を思い出していた。


66 :第二章:02/12/09 00:11 ID:H0/u8xn9

(1)
 激しい雨の日だった。
 暗い。昼間だというのに、街灯が晧晧と照らしている。道ゆくクルマもランプを明明と光らせている。
だが、これらの光はかえって闇の深さを感じさせる役にしかたっていない。

 1998年の4月下旬だっただろうか。
 東京都心よりやや外れた、再開発地区に位置する、あるテレビ局のスタジオへ向う途上である。
 矢口真里・保田圭・市井紗耶香の三人は、モーニング娘。のメンバー五人と対面しようとしていた。

 矢口たちは、ユニット・モーニング娘。の追加メンバーオーディションの合格者だ。彼女たちが合格
を知らされた直後に、モーニング娘。のマネージャー・和田薫は三人を呼びつけ、恐るべき言葉を突き
つけている。
「明日から芸能人だから」
 なんと、モーニング娘。になった初日から仕事が始まるというのである。三人の初仕事は、モーニン
グ娘。の新曲のジャケット撮影だ。その現場で、オリジナルメンバー五人との初対面も行われる。


67 :第二章:02/12/09 00:12 ID:H0/u8xn9

(2)
 三人とマネージャーの和田薫を乗せたクルマは雨の中を往く。
<まるで氷雨だ>
 がちがちと歯を鳴らせながら、和田薫はそう思った。とにかく寒い。クルマの中でもこうなのだから、
外は尚更だろう。
「運転手さん、暖房を強くしていただけないか」
 
 この道のひどさはどうだ。道路には大きな水溜りができている。それも、泥交じりの水溜りだ。クル
マが通る度に泥水が撥ねていく。対抗車線をすれ違うクルマのせいで、和田たちが乗っているクルマも
ドアから窓ガラスから泥まみれである。和田薫は泣きたくなった。

<少しは彼女たちの前途を祝福してやってもいいじゃないか>
 彼女たち三人は、五千人もの応募があったオーディションの合格者である。芸能界を夢見る幾多の少
女たちから、厳正な審査の結果選ばれた精鋭がこの三人なのである。真実は少し異なるのだが、当の三
人は知る由もない。ともあれ、天気は、三人の門出を祝うつもりはないようだ。


68 :第二章:02/12/09 00:13 ID:H0/u8xn9

(3)
 矢口真里は、モーニング娘。についてよく知らない。だが、テレビ番組に映る彼女たちからは、素朴
な印象を持っていた。保田圭と市井紗耶香の二人も似たようなものだった。ブラウン管の中のモーニン
グ娘。には、概ね好意を抱いていた。

 だが、実際に対面してみるとその印象は一変していた。
 モーニング娘。のメンバー五人の顔貌に変化があったのではない。オリジナルメンバーの矢口たちを
見る眼が尋常ではなかったのである。

 とにかく氷のような冷たさだった。


69 :第二章:02/12/09 00:14 ID:H0/u8xn9

(4)
 矢口たちもそれなりの覚悟はしていた。
 前夜三人で宿泊したホテルで話し合った結論は、口を利いてもらえなくても頑張ろうね、だった。な
るほど、自分たちが逆の立場、すなわち既存のメンバーとして追加メンバーを受け入れる立場ならば、
やはりいい気にはなるまい。多少は冷たくされても仕方がないのではないか。
 そう、あくまで、多少は冷たくされても、だ。

 ところが実際に対面してみると、五人のオリジナルメンバーたちは実に素っ気なかった。あたかも自
分たちのことなど歯牙にも掛けていないかのようだ。
 事実、オリジナルメンバーの一人・中澤裕子は当時を振り返ってこう証言している。
「三人の印象ですか?ないです。何も思わなかった」
 さらに中澤は続ける。
「心配はあったんですけど、仲良くなる必要はないと思ってたから……」
 他の四人も似たようなものだった。自分たちなど意に介す気もないらしい。


70 :第二章:02/12/09 00:15 ID:H0/u8xn9

(5)
 翌日も仕事である。たまりかねた追加メンバー三人は、オリジナルメンバー一人一人の下に出向き、
改めて挨拶をした。その上で、三人の中では最年長の保田圭が、自分たちは芸能界に飛び込んだばかり
であり、技能も礼儀も未熟であることを率直に語り、歌やダンス、そして芸能界の仕来りなどを教えて
くれるよう、頭を下げて頼んだ。返ってきた答えは、にべもない拒否だった。私たちはご縁があってた
またまあなた方より先にこの世界に入ったが、まだまだ未熟で修行中のみであるから、人様に教えられ
ることなど何もない。仮にあったとしても、下手に教えてあなた方を駄目にしてしまってはスタッフの
皆さん、ひいてはファンの皆様に迷惑をかける。私たちが中途半端なことを教えるよりも、スタッフに
直接訊いたほうが正確だし、あなた方のためになる。だからこの件はご容赦願いたい。五人が五人、揃っ
てそう云うのであった。

 一応理屈は通っているが、矢口たちは嘘だと直感した。五人の眼が揃って冷たいのだ。せせら笑って
いるような気配すらある。理解できなかった。自分たちがオリジナルメンバーを怒らすようなことはし
た筈がなかった。そもそも初対面から二日目である。悪意の対象になる理由がなかった。むしろ、先方
がこちらに気を遣っているとも考えたが、それにしても眼の冷たさが尋常でない。


71 :第二章:02/12/09 00:22 ID:H0/u8xn9

(6)
 矢口たちは途方に暮れて、愚痴をこぼすしかなかった。
「あそこまで冷たかったなんてね……」
「怖かった……。あの人たちとなんか一緒にやって行けないよ」
「私たちにはどうしようもないよ。あの人たちとの間に大きな壁が出来ているから……」
 愚痴など云っても始まらないことは、よく判っていたが、自分たちなりに最善の努力をした上でも事
態が変わらない以上、不満を口にでもしないとやりきれなかった。

「明日は明日の風が吹く……かも」
「吹けばいいけどね」
「やれることはやってみようよ。無駄かもしれないけど」
「そうだよね。明日こそ口を聞いてもらえるように頑張ろう」

 だが、次の日も、追加メンバー三人は、五人に碌に口を利いて貰えなかった。
 その次の日も、その又次の日も、更にその又次の日も、五人は三人を相手にもしようとしなかった。


72 :第二章:02/12/09 00:23 ID:H0/u8xn9

(7)
 そんな三人を労わるつもりだったのだろうか、マネージャーの和田薫は矢口たちを呼び出してねぎら
いの言葉を掛けている。オリジナルメンバーが冷たく感じられるかもしれないが、彼女たちも悪意があ
って君たちにそう接しているのではないから、どうか耐えて欲しい。増して、自分たちに原因があるの
だと思い込むのはやめて欲しい。遠くはない日に、このギクシャクした雰囲気も打ち解けるであろう。否、モーニング娘。八人が一致団結しなければ、このユニットの明日はないのだ。

 更に和田は続ける。
「五人が君たちに冷たく当たるからといって、君たちに非があるんじゃない。理由は、むしろあの子た
ちの境遇にあるのだ」
 追加メンバーたちは無表情でマネージャーの次の言葉を待つ。
「君たちもテレビで見て知っていたと思うが、そもそもあの子たちは好んで今の仕事をしているわけで
はないのだ。自ら志願してモーニング娘。になった君たちとは違ってな」


73 :第三章:02/12/09 00:26 ID:H0/u8xn9

(1)
 モーニング娘。はオーディションの落選者を集めて結成されたユニットである。
 1997年の春、あるテレビ番組の企画で『シャ乱Q女性ロックヴォーカリストオーディション』なる企
画が告知された。後にアイドルユニット・モーニング娘。のオリジナルメンバーとなる安倍なつみ、飯
田圭織、石黒彩、中澤裕子、福田明日香はこのオーディションに応募した。五人は音楽が、ロックが好
きで、歌唱にはそれなりの自信があった。そして、五人は苦もなく最終選考まで勝ち残った。全国約一
万人の応募者から選ばれた11人の最終候補者の枠に残ったのだ。
 11人の誰もが、よもや自分が受かるはずはあるまい、と思っていた。だが、ここまで来ると欲が出て
くる。あわよくば自分が合格するかも、と内心では微かに期待していた。何しろ、合格者は大手レコー
ドレーベルからデビューでき、日本武道館でライブを催せるのである。自分が受かることはないだろう
が、合格する可能性はゼロではないだろう。


74 :第三章:02/12/09 00:27 ID:H0/u8xn9

(2)
 『日本武道館』が候補者たちを狂わせたといっていい。日本武道館は、多くのアーティストたちがこ
こでのライブを目標にする場所である。いわば、アーティストたちの聖地である。日本武道館でライブ
を催せるということは、一流のアーティストの一員と見なされてよい。彼女たち一人一人は、日本武道
館の満員の観衆を前にして熱唱する己の姿を空想のうちに描いて、ほとんど陶然としていた。

 とりわけ安倍なつみにはこの思いが強かった。このオーディションでは、候補者たちに歌の発注を出
し、そのVTRチェックを行い、発注とVTRチェックを繰り返す中で徐々に候補者を絞り込んでいく形式を
とっている。ところが、安倍の第一回目のVTRチェックを行っていた選考委員の面々は意外な結論を出す。
「安倍ちゃんは即決勝」
 つまり、安倍なつみは、発注とチェックという段階を省略していきなり最終選考候補者となった。全
国約一万人が参加したこのオーデションで、このような扱いを受けたのは安倍なつみ一人だけである。
結果、最終合格者となる平家充代でさえ、これらの段階を一歩一歩踏んでいる。
 安倍が狂うのはむしろ当然ではないか。


75 :第三章:02/12/09 00:28 ID:H0/u8xn9

(3)
 そんな安倍たちの思いとは裏腹に、『シャ乱Q女性ロックヴォーカリストオーディション』のナレー
ションは非情に最終選考の結果を伝えていた。
「……というわけで、平家充代いかがでしょうか?」
 このオーディションの最終合格者には、三重県の高校生・平家充代が選ばれた。中澤も、石黒も、飯
田も、福田も、そして安倍も、日本武道館で歌わせては貰えなかった。

 合格者の平家充代(のちに『平家みちよ』と名乗る)は、いかにも日本武道館にふさわしかった。声
質・声域・声量・技術・そしてロックへの適性。どれをとっても、最終選考候補者11人の中で抜群だっ
た。平家はロックヴォーカリストとしての才能に溢れていた。

 そんな平家と比較すると、落選者たちはロックヴォーカリストとしては何枚も格落ちだ。
 飯田は音感に問題がある。石黒は発声におかしな癖がついている。中澤と安倍は声質が優しすぎてロ
ック向きではないし、声量が足りない。福田には、先に挙げた四人のような問題は見当たらないが、彼
女は当時中学一年生、ロックヴォーカリストとしてはいかにも幼すぎた。

 厳しい現実を突きつけられた。ショックだった。泣きたくなった。自分の実力で、日本武道館にて歌
えると、たとえ一瞬でも思っていた己が愚かしかった。五人が五人とも、そう思った。


76 :第三章:02/12/09 00:29 ID:H0/u8xn9

(4)
 合格者が平家充代と決定した日(正確にはオーディション合格者発表の収録が行われた日である)の
深夜、和田薫は上司たる芸能プロダクション社長(当時の肩書)・山崎直樹にある事項を伝えに来てい
た。山崎が経営するアップフロント・エージェンシーは平家が所属する予定のプロダクションである。

「テレビ局側にこちらの条件を飲ませることが出来たか?」
「はい。八割方はこちらの予定通りになりました」
「八割?何か通らなかった条件があったのか?」
「いいえ。こちらの要求はすべて通りました。プロデュース方針・プロモーション費用の按分・起用す
る人材すべて社長の構想通りでございます」

「うむ。平家のデビューを日本武道館ライブで華々しく飾る。一万人の観衆の前で『GET』(オーディ
ション当時から決定していたデビュー曲)を熱唱する。その動員をテレビ局の招待で賄えば、こちらの
懐は傷まないで済む」
「日本武道館公演は如何にやり繰りしても赤字になるのが通例でございますれば……」
「そうだ。だが、タレントに『箔』を付けさせるのに日本武道館ライブほど効果的な手段もない」


77 :第三章:02/12/09 00:30 ID:H0/u8xn9

(5)
 山崎の口上は続く。
「『日本武道館』で勢いを付けた平家が、洋楽ポップスの名曲〜例えばカーペンターズあたり〜をカバー
すれば世間の注目を集めるのは確実だろう」
「さようでございます。平家ならば実現できるでしょう」
「そして、アップフロントとテレビ局側の叡智を結集したファーストアルバムで、日本中の音楽ファン
を魅了する。こうすれば、平家は一線級アーティストの仲間入り、アップフロントも安泰なのだ。それ
をテレビ局の金と人で実現できるのだから、これほど喜ばしいこともない」

「おっしゃる通りでございます。社長の条件はすべて受け入れられました」
「条件は100%ではないか。何の問題もない。残りの二割など存在しないぞ」
「残りの二割というのは……向こうが提示した新規の条件でして……こちらとしては受け入れ難いもの
でしたが、平家の条件をすべて認めるという代償として認めて欲しいといわれましたので……」

 和田が山崎の前で言葉を濁らせるのは、余程の場合に限られる。この二人の関係は上司と部下と云う
よりは親友同士に近いと、先に書いた。だから、このテレビ局が新規に追加した条件は、山崎と和田に
とって、相当の不利益が見込まれるに違いない。

「新規の条件とはまさか……」
「そのまさかでございます」


78 :第三章:02/12/09 00:31 ID:H0/u8xn9

(6)
「落選者の安倍なつみを使って何かをせよ、というのが先方の要求だな?」
「厳密には、落選者十人を集めてユニットを結成して欲しいのだそうです。勿論、安倍は中核をなすメ
ンバーです」

「オーディションの選考過程で安倍なつみ一人だけ特別待遇するのを見て、嫌な予感がしたのは、虫の
知らせだったのか……」 
「今になって思えば、テレビ局の指示でいびつな選考が行われたのが、伏線になっていたのですね」

「それにしても、十人か……。いかにも多すぎる」
「十人全員でユニットを結成できるとは思えません。わたくし、この打診を受けた直後に、安倍家を秘
密裏に説得することには成功したのですが、他の九人については依然交渉中でして……」
「さすが君だ。テレビ局の意向としては、安倍中心のユニットを作りたいのだから、要求の半分以上は
既に満たされていよう」
「引き続き、残りの落選者たちとの交渉にあたります」
「残り数日しかないが、健闘を祈るよ」
 山崎に一礼すると、和田は社長室から去り、無人のオフィスへと向かった。


79 :第三章:02/12/09 00:32 ID:H0/u8xn9

(7)
 このオーディションは、福岡・東京・大阪・札幌と全国三会場で実施され、三会場から候補者が選出
された。栄冠に輝いた平家(三重県在住である)は大阪会場で受験した。

 オーディションを最終選考まで勝ち進みながら、力及ばず落選したのは、以下の十人である。
 福岡会場からは、青木朗子(20)OL・松本弓枝(19)専門学校生・高口梓(18)フリータの三人。
 東京会場からは、河村理沙(16)高校生・兜森雅代(19)フリーター・福田明日香(12)中学生の三人。
 札幌会場からも三人で、安倍なつみ(16)高校生・飯田圭織(15)高校生・石黒彩(19)短大生である。
 大阪会場からは、中澤裕子(24)OL一人が枠に残った。

 この数日間、和田薫は目まぐるしく動いた。日本中に散らばっている落選者たちの説得(ただし、本
人に知らせず家族やそれに準ずる人と交渉にあたったのである)に奔走した。一日で東京と福岡を二往
復したこともあった。
 だが、これらの落選者たちのうち、和田の説得に応じたのはたったの五人であった。
 福田明日香・中澤裕子・飯田圭織・石黒彩・安倍なつみ。
 この五人で新ユニットを結成することになった。


80 :第三章:02/12/09 00:33 ID:H0/u8xn9

(8)
 テレビ局の設定した期限の日になった。
「もう少し集めることは出来なかったのかね?」
 山崎は和田を詰るようにいう。
「申し訳ございません。青木は人妻ですので、旦那の許可が得られませんでしたし、他の四人も学校や
職場の都合があるのです」
 和田が答える。

「高口と兜森はフリーアルバイターではないか」
「彼女たちは職場ではリーダー的存在なのです。アルバイトたちを束ねる、いわば副店長でして、この
副店長を引き抜くのは並大抵では行きません」

「仕方がない。この五人で行こう。それにしても、中途半端な人数だ」
「五人は演技が宜しゅうございます。ビートルズは結成当時五人でした。ローリングストーンズも五人
ですし、最近では、イギリスのアイドルユニット・スパイスガールズもそうですし、日本ではチューリッ
プや……」
「シャ乱Qを忘れているぞ」
 シャ乱Qはこの事務所に所属するバンドである。平家をプロデュースするのは、このシャ乱Qである。
「ははは。これは失礼しました」
「わっはっは。君らしくないなあ。元マネージャーじゃないか」
 部屋中に二人の哄笑が響いた。


81 :第三章:02/12/09 00:34 ID:H0/u8xn9

(9)
「そのマネージャーの件だが、新ユニットのチーフマネージャーは君に任せたい」
 山崎は再び真剣な表情に戻っている。

「わたくしは平家の担当ではないのですか?」
「当初の予定では、私も、君を平家付けにして万全の体制を敷こうと思った。ところが、ぽっと出た新
ユニット結成だ。メンバーのご家族を説得した縁もあるし、このユニットのマネージメントは君が適任
だろう。それに……」
 和田は山崎の言葉を待つ。

「それに、平家はどの道成功するだろうから、君の力を使うまでもないと思うのだよ。だが、新ユニッ
トが成功する可能性は、正直なところ、私にも見込めない。その状況を君の敏腕で何とかして欲しいの
だよ。」
「わかりました。不肖、わたくし、尽力いたします。では、失礼させて……」
「待て!」


82 :第三章:02/12/09 00:36 ID:H0/u8xn9

(10)
「新ユニットのプロデュースは寺田君にさせたい。彼を説得して欲しい」
 寺田とは、シャ乱Qのボーカル・つんくの本名である。

「寺田君ですか?彼はシャ乱Qの活動に専念したいようですから、一筋縄ではいかないと思われます」
「心配は無用だ。彼は応じてくれるはずだ」
「社長には勝算があるのですか?」

「あるとも。シャ乱Qの楽曲を作っているのは、主に寺田君と畠山君(シャ乱Qのギター・はたけの本名)
だが、乱暴な言い方をすると、寺田君の曲は歌謡曲調で、畠山君の曲はロックそのものだ。その音楽性
の違いは、近い将来に空中分解を引き起こす原因になりかねない」
「しかし、その危うさがシャ乱Qの魅力です」
「問題はシャ乱Qだけじゃないのだよ。平家のプロデュースはシャ乱Q全体に任せているが、早晩、畠山
君一人がプロデュースを担当することになるだろう。平家はロック歌手だが、寺田君にロックは書けな
いのだからな。そうなると、畠山君の一人勝ちとなり、空中分解を促進しかねない」

「では、シャ乱Qのガス抜きのために、寺田君を新ユニットのプロデューサーに据えると?」
「そうだ。それに、新ユニットは歌謡曲路線ですすめようと思っている。ロックには適性のない連中だ
からな。そんな彼女たちには、やはりロックには向かない寺田君が適任だろう」


83 :第三章:02/12/09 00:38 ID:H0/u8xn9

(11)
「彼女たちは捨て石ですか?」
 和田は云う。
「そうさせないのが君の仕事だ。若いタレント五人を雇うと、給料やら家賃やらすべて含めて月500万
円ほどの経費が掛かる。その金額は、平家のプロモーション費用だと考えれば安いかもしれない。しか
し、一旦雇用したからには、彼女たちもアップフロントのタレントだ。それなりに働いて貰わないと困
る」
 ここで山崎は一呼吸置く。

「時に、アップフロントの企業哲学は何かね?」
 山崎は和田の頭脳に叩き込まれている筈のことを問う。

「『若い時が花なタレントは悲しい、30歳になっても現役でいられるタレントにならねばいけない』で
す。」
 当然のように和田は即答する。
「その通りだ。彼女たち五人が、30歳の誕生日をアップフロントのタレントとして迎えるようにしてく
れよ。現時点では厳しいかもしれないが、君の努力次第で何とかできる筈だ。そのために、アップフロ
ント一の辣腕マネージャー・和田薫を新ユニットのチーフマネージャーに任命した」
「そこまでおっしゃるのでしたら、わたくしも最大限に努力致します。まず第一弾として、寺田君の説
得に行きます」


84 :第三章:02/12/09 00:39 ID:H0/u8xn9

(12)
<途方もない話だ>
 新ユニットのメンバーが30歳になるまで現役でいさせろ、というのだ。最年長の中澤裕子(24)が30歳
になるだけでも6年掛かる。まして、年少のメンバーがその年齢になることを考えたら、気が遠くなり
そうだ。例え、自分が説得に成功してプロデューサー・つんくが素晴らしい楽曲を提供したとしても、
例え、マネージャーの自分が持てる力を最大限に発揮して(今まで培った人脈を駆使して営業に励むな
どして)も、彼女たちは持ち堪えて半年、あとは多くの泡沫タレントのように、この世界から退場を余
儀なくされるだろう。和田が今まで手掛けてきたタレントは悉く成功したが、今回ばかりはとても大成
する見込みがない。正直云って、引き受けたくない仕事だった。だが、敬愛する山崎が彼女たちをよろ
しく頼むという以上、和田は全力を以って新ユニットのマネージメントにあたるしかない。

「俺はやるぞー!!新ユニットで天下を取ってやる!!」
 自宅に戻ると、古さびたフォークギターを取り出し、それをかき弾きながら、二昔前に流行したフォー
クソングを大声で歌った。だが、内心は不安だった。天下など取れるとは微塵も思っていなかった。こ
うでもしないと内なる弱の虫に負けそうだった。

 この日に構想された新ユニット・モーニング娘。(この時点ではまだ命名されていないが)が大成長
して、アップフロントの大黒柱になるとは、そしてこのユニットのメンバーから、芸能界を震撼させる
人物が次々と輩出されるとは、和田にも、山崎にも、そして日本中の芸能関係者誰にも想像すらできな
かった。


85 : :02/12/09 02:03 ID:IaG8khoI
 

86 :名無し募集中。。。:02/12/09 07:31 ID:zwUYTGHq
続き期待

87 :名無し募集中。。。:02/12/09 17:43 ID:pE6o9k1s
移転sage

88 :名無し募集中。。。:02/12/09 17:44 ID:pE6o9k1s
スマソ・・・
回線(ry

89 :名無し募集中。。。:02/12/09 21:16 ID:zwUYTGHq
移転先は?

90 :名無し娘。:02/12/10 00:15 ID:wu9ZLwxA
>>89
狼の本スレはここだと思われます。
矢_____口_____不_____足_22
http://ex2.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1039172418/

91 :第三章:02/12/10 00:20 ID:wu9ZLwxA

(13)
 朝が来た。
 石黒彩は自然に目覚めた。

<平家さんに負けたのだから、仕方ないな>
 オーディション落選のショックも和らぎ、今となってはこの現実を受け入れられる。
 歌も頑張った。ダンスも頑張った。けれども、平家は全部自分以上だったのだから、認められる。過
ぎたことだ。これからは私の日常を頑張ろう。そう思い、洗濯をはじめる。

 洗濯物を全自動洗濯機に押し込み、洗剤を投入し、洗濯機を作動させると、遅めの朝食を作る。六つ
切りの食パン二枚に、スクランブルエッグとシーザーサラダ。軽く焼いたベーコンも添えた。予め沸か
しておいた湯を、ティーバッグをセットしたモーニングカップに注ぎ、紅茶を作る。スティックシュガー
は一本半。これ以上多いと甘すぎるが、これ以上少ないと物足りない。

<芸能人はもっと豪華な朝ご飯を食べているのかな?>
 食パンにイチゴジャムを塗りながら、石黒は、一流ホテルで出されるようなイングリッシュ=ブレッ
クファストを食べる己の姿を空想した。今朝のメニューにヨーグルトとチーズが加わり、その上シリア
ルもつく。しかも、食材は更に良いものを使っている筈だ。
 
 電話が鳴った。空想の世界から現実に連れ戻された。



92 :第三章:02/12/10 00:21 ID:wu9ZLwxA

(14)
 電話の主は意外な人物からだった。
「わたくし、『シャ乱Q女性ロックヴォーカリストオーディション』の担当ですが、彩さんはご在宅で
しょうか?」
「本人です」
「では、用件を伝えますね。何があるか、現時点では申し上げられないのですけれど、今月の20日に東
京へお越し願えないでしょうか?」
「は、はいっ」
 石黒は驚きのあまり、返事をまともに出来なくなっている。

「もう一つお願いがあるのですけれど、よろしいでしょうか?」
「はっ、はい」
「東京に呼ばれたことを他の参加者には絶対に言わないでください」

 受話器を置くと、石黒はある電話番号をダイヤルした。


93 :第三章:02/12/10 00:21 ID:wu9ZLwxA

(15)
 通話中だった。
 暫く経ってから掛け直そうと思い、朝食の続きをとっていると、向こうから電話が来た。

「飯田です。飯田圭織です。お元気でしたぁ?」
 石黒と飯田はともに北海道・札幌市在住である。やはり北海道の室蘭市に住む安倍なつみを含めた三
人は同郷の誼もあってか、気が合い、最終選考落選後も、何かあったら連絡しよう、と約束しあうまで
になっていた。

「彩っぺにはなんか変わったこと起きたぁ?」
「起きたよ。番組の人から、東京に来いって言われた」
 石黒は嘘や隠し事の出来ない性格である。しかも、例え二部の理しかなくても、先にした約束を優先
して守るタイプだ。だから、番組スタッフに上京の件を口止めされていたが、飯田たちとの約束が先な
ので、飯田にありのままを話した。

「いいなぁ、彩っぺ。よかったね。圭織には何も連絡がなくってさ……」
 石黒は若干気まずさを覚えた。だが、約束をした時点で、こういう事態は考えられたのだから、やむ
を得まい。

 飯田との電話が終わると、石黒は安倍なつみに電話を掛け、飯田に話したのと同じ内容を伝えた。や
はり、同じような気まずさを覚えた。


94 :第三章:02/12/10 00:23 ID:wu9ZLwxA

(16)
 ほんの数十分だけ時を遡る。
 実は、石黒が飯田宅にその日はじめて電話したとき、飯田は安倍と通話中だった。

「もしもし、なっちです。圭織には変わったこと、あった?」
(『なっち』は安倍なつみの愛称である)
「なかったよぉ。なっちは?」
「全然ない。やっぱり何もないね?しょうがないね」

 二人とも、番組スタッフから上京するように云われていたが、その件については、お互いが全く喋ら
ないでいた。
 石黒が上京組に含まれていることだけは、のちに石黒本人からの連絡で知ることになる。

 だから、安倍と飯田は、上京して番組スタッフの元へ一堂に会した時、互いに対して、そして石黒に
対してかなり気まずい思いをすることになる。それはそうだろう。ここにいない筈の自分がここにいる
のだから。

 当時を振り返って、石黒は苦笑しながら話す。
「いやあ、世の中、ウソつきが多いんだなって思いましたよ」


95 :第三章:02/12/10 00:24 ID:wu9ZLwxA

(17)
 約束の日が来た。

 番組スタッフから召集された五人はスタジオに集合した。
 いささか気まずい空気に包まれながらも、彼女たちは尋常ならざる不安を抱いていた。

 特に、最年少の福田明日香は極度の緊張状態にあった。
 これから何が起こるかはわからないが、ここにいる五人で何かをせよ、というのは間違いない。中学
一年にして、年上ばかりの集団に放り込まれた少女の心理は容易に想像できよう。だが、福田を不安に
させる原因はそれだけではない。

<私とは背負っているものが違う>

 これが、自分以外の四人に対して福田が受けた印象だった。彼女たちには、自分にはない匂い〜地方
出身者が放つ故郷の匂いとでも云えばいいのか〜が感じられる。


96 :第三章:02/12/10 00:28 ID:wu9ZLwxA

(18)
 福田以外の四人は地方出身者だった。中澤は京都府出身で、石黒と飯田そして安倍の三人は北海道で
生まれ育った。四人とも、いざとなれば故郷を捨てる決心を固めているだろう。

 四人は故郷から離れ、東京で成功しようと体一つでやってきた。家族とも、友人たちとも、場合によ
っては恋人とも別れてきたのだ。そんな四人の情念は全身に滲み出ている。自分は四人に呑まれるかも
しれない、そう福田は思った。

<四人には歌で負ける気がしない>

 それでも、気持ちの張りという点で、自分は四人に勝てないのではないかと福田は思っている。四人
は故郷を捨てて、単身で勝負しようとしている。そこに甘えが張り込む隙はない。
 だが、東京の区部(大田区)で生まれ育った福田にとって、故郷というものを意識したことはなかっ
た。今暮らしている町が故郷であり、友人たちも同じ土地に住み、家に帰れば家族がいる。福田にして
みれば、故郷は空気のようなものだった。そこに隙が生じる。これが自分の弱みになるのではないか、
と福田は危惧しているのだ。

<故郷を背負っている女たちとたたかうのか>
 こう思うと、福田明日香は気が重たくなるばかりだった。


97 :第三章:02/12/10 00:32 ID:wu9ZLwxA

(19)
 福田の鬱の度合いが増した。
 シャ乱Qのボーカル・つんくが新ユニットデビューの件を切り出したからだ。

 ここにいる五人で新ユニットを結成するというのは、福田が予想した通りだった。だが、条件が付帯
する。それも過酷な条件だった。
「目標としては、一日に一万枚売れるようなアーティストにたどり着いてもらえれば、次のステップに
進めるんじゃないかな、と。五人いるんで、五日間で……五万枚……」

<無謀だ。情け容赦ない>
 福田は、途方もないことだと思った。自分たち五人はオーディションの落選組だ。簡単にメジャーデ
ビューさせたのでは世間が納得するまい。あまりにも過酷な条件だけれども、やれと云われたからには、
最後まで頑張りぬくしかない。選択肢は一つしかないのだ。


98 :第三章:02/12/10 00:33 ID:wu9ZLwxA

(20)
 番組側からこの条件の話を聞いて、福田と同じことを考えた男がいる。新ユニットのマネージャーを担当する和田薫だった。

「番組の演出だとわかっておりますが、これはあまりにも過酷すぎないでしょうか」
 和田は続ける。
「一日一万枚売れるアーティストの件は、あまりに安易な例えではないでしょうか。一年に均しますと」
「軽くトリプルミリオンか。そんなタレントがいればアップフロントは安泰だな」
 上司たる山崎直樹がティーカップの中の黒い液体をスプーンで撹拌しながらいう。

「社長は、新ユニットがこの条件を達成できるとお考えでしょうか?」
「売れることは売れる……番組が売ったことにしてしまうだろう。視聴者にしてみれば、ブラウン管に映ることだけが真実なの
だから。だが、五人のその後を考えると……」
「……五万枚に限りなく近い数字を売り切らなければ、明日はないのですか……」
「うむ。急造ユニットが本格的に機能しないといけない」
 山崎はブラックコーヒーを飲み干す。


99 :第三章:02/12/10 00:35 ID:wu9ZLwxA

(21)
「時に、新ユニットのプロデューサーの件はどうなったかな?」
「はい。寺田君は引き受けてくれました。ただ、何分にも急用でしたので、新ユニットのデビュー曲は
番組側に用意してもらうことになりましたが」

 ここで云うデビュー曲とは、彼女たちが五万枚売り上げる課題となる、インディーズCD『愛の種』で
ある。上の事情で、この曲は、モーニング娘。の数多ある楽曲のうち、プロデューサー・つんくが作詞
にも作曲にも関わっていない唯一の楽曲となった。ちなみに、この時点ではつんくはプロデューサーに
就任していない。『愛の種』の作詞はサエキけんぞう・作曲と編曲、プロデュースは桜井鉄太郎が担当
した。

「問題は、プロデュースでも、楽曲でもなく、メンバーの人間関係なのです」
「誰かが浮き上がっているのか?」
「はい。最年少の福田明日香がひときわでして」


100 :第三章:02/12/10 00:42 ID:wu9ZLwxA

(22)
 福田は四人と全く馴染めなかった。原因は、東京在住者と地方出身者の違いでもあるし、このユニッ
トが急造されたからでもある。そして、五人の性格は全く異なっていたからでもある。

 福田は当時を回想する。
「私は、必要以上のことはぜんぜん喋らなかったんですよ。挨拶とか、普通の会話はしてましたよ。で
も、みんなよく喋るんですよ。それについていけなかったですね」

 そんな福田に更に追い討ちがかけられる。

 新ユニットの名前が決定した。
「モーニング娘。」
 喫茶店のモーニングメニューを意識している。親しみがあり、お買い得、というニュアンスを持たせ
ている。ユニット名の最後の「。」は番組の司会者が独断で付けた。
<なかなかいい名前じゃない>
 福田は即座にこのユニット名が気に入った。周囲も自分と同じかと思えば、さにあらず、四人は苦笑
にも似た複雑な笑みを浮かべていた。スタジオの観客からも笑いが起こった。それも嘲笑に聞こえた。

<私たちは安っぽい企画物だと思われている>
 福田はますます落ち込んだ。


101 :ロベルト・カルロス:02/12/10 04:06 ID:au3YHt+O
小説スレになってもうた・・
ショボーン

102 :名無し募集中。。。:02/12/10 21:33 ID:ft6LeJmZ
フカーツおめsage

103 :第三章:02/12/11 00:52 ID:TVr0OyT5

(23)
 CDシングル五万枚を収納すると段ボール箱50個になる。積まれたダンボールを目のあたりにすると、
五万枚という数字が実感できる。この山をさばくために、何をしたらいいのか。

 つんくは云う。
「一人でも多くの人に聴いてもらう。認知してもらう」

 その言葉を受けて、五人は全国の街へPRに出かけた。
 各地のレコード店を回り、ポスターを貼らせてもらう。
 有線放送の放送所をまわり、リクエストの空き時間があれば『愛の種』をかけてもらえないかと担当
者に頼み込む。
 手作りのプレートとのぼりを手に街を練り歩く。
 各地方のテレビ局・ラジオ局生放送番組にも出演した。

 モーニング娘。のメンバー一人一人も、寸暇を惜しんでPRにつとめる。
 中澤は大阪のある大学を訪問して、学園祭にモーニング娘。を出演させてもらえないか、と学園祭委
員と交渉する。
 飯田は見知らぬ家々を訪ね歩き、手製のビラを手渡す。
 安倍は知人のつてを頼って室蘭市長に面会する機会をえて、協力をお願いする。
 石黒は高校の卒業名簿を使って、同窓生に片っ端から手紙を書く。
 福田は学校の放送委員に頼んで、学校放送で『愛の種』をかけてもらった。友人の紹介で他の学校の
放送委員を紹介してもらい、そちらの学校でも曲を流してもらった。


104 :第三章:02/12/11 00:53 ID:TVr0OyT5

(24)
 モーニング娘。のCD発売初日が来た。場所は中澤裕子の地元(出身は京都府だが、当時大阪でOLをし
ていた)・大阪。メンバーの努力の甲斐あってか、『愛の種』は売れに売れた。

 会場前には、販売開始前から長蛇の列が出来ていた。その列は次第に伸びていき、ある物好きが計測
したところ、およそ1.5キロメートル、つまり地下鉄心斎橋からなんば駅まで、駅一区間分もの長さに
なったという。
 売れに売れた。混雑のあまり、近隣の店舗から苦情が来て、販売会場を閉鎖に追い込まれた。なにし
ろ、『愛の種』を買い求めに来た中澤の同僚さえ、会場には入れなかったほどである。
 この日の売上はおよそ一万七千枚弱。目標の五万枚の三分の一にあたる。

 歓喜のあまり、メンバーたちは抱き合って涙を流した。


105 :第三章:02/12/11 00:55 ID:TVr0OyT5

(25)
 販売会場を福岡・札幌と変えても、モーニング娘。の勢いは止まらなかった。『愛の種』は順調に売
れて、ついに残り一万枚を切った。今まで通りのペースで売れ続ければ、次の会場で五万枚完売できる
であろう。

「五万枚完売!かんぱ〜い!」
「前祝いだべ。乾杯!」
「楽しそうやな。うちも混ぜてや」
「ちょっと気が早くない?」
「まあ、そういうなって。彩っぺも盛り上がろうや」
「明日もいい勢いのままやりたいからね」
「じゃあ、この勢いでいくぜ!」
 次の販売会場・名古屋を前にして、メンバーたちは宿舎で盛り上がっている。

<脳天気なやつらだ>
 福田明日香だけが前祝い気分に乗れなかった。四人は、名古屋で完売できなかった場合のことは考え
ていないようだ。自分は四人のような気分にはなれない。名古屋で売れず、次の東京でも売れなかった
らどうするつもりなのだ。

<いっそのこと、全く売れなかったら……>
 福田の脳裏に悪魔のような考えが閃いた。


106 :第三章:02/12/11 00:57 ID:TVr0OyT5

(27)
 福田の予感は的中した。
 
 モーニング娘。は名古屋でのCD手売りに備えて、前日を名古屋市内での販促活動に当てることにした。
 その日は曇りだった。黒い雨雲が立ちこめている。地元のラジオ番組に生出演した。販売会場となるナ
ゴヤ球場を下見した。いつの間にか、雨が降っていた。
 その後、例ののぼりとプレートを手に街頭PRにでた。

 だが、反応が全くないのである。
 名古屋市内で最も喧騒な大通りを練り歩いても、地下道に立っても、名古屋駅前で声を張り上げても、
道行く人びとはじつに冷淡な反応しかしない。
 風が強かった。斜めに振り盛る雨に、髪も服も濡れるばかりだった。雨はますます勢いを増していく。
 必死に声を張り上げても、否、張り上げれば張り上げるほど、道行く人びとは冷淡な視線を浴びせ掛け
るような気がする。

<私たちは甘かった>
 四人は、ようやく福田と不安を共有するようになった。


107 : :02/12/11 10:01 ID:YW6zjbbD
sage

108 :名無し募集中。。。:02/12/12 01:04 ID:bWQRyQ8/
保全

109 : :02/12/13 12:06 ID:FWILjWpK


110 : :02/12/14 12:28 ID:tCV3hLgq


111 :名無し募集中。。。 :02/12/15 13:12 ID:We+KgDQW
保守

112 :名無し募集中。。。:02/12/16 07:42 ID:kVaphDvR


113 :名無し募集中。。。 :02/12/16 22:53 ID:5awksuKe
age

114 : :02/12/19 06:31 ID:zAU348fT
114

115 :名無し募集中。。。:02/12/20 10:52 ID:JRX8vd8c
保さん

116 :名無し募集中。。。 :02/12/21 02:24 ID:vMMwwfZK
お前ら小説好き過ぎ。
やぐやぐ♪しようぜ!

117 :名無し娘。:02/12/22 14:14 ID:7hHw1YP6
執筆再開…。のつもりが矢口写真集を眺めるだけでボーっとすごす。

気長に待ってください。

118 :名無し募集中。。。:02/12/24 01:41 ID:YfpOTLNy
メリークリスマス

119 :名無し募集中。。。:02/12/28 09:30 ID:JrQFf64M


120 : :02/12/29 21:23 ID:1r8EO9ZM


121 : :02/12/31 00:05 ID:V3j3a1x4


122 :名無し募集中。。。:03/01/01 23:41 ID:2/iGW275


123 :名無しさん:03/01/03 00:46 ID:CrAxuxMi
                      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
Λ_Λ  | 君さぁ こんなスレッド立てるから          |
( ´∀`)< 厨房って言われちゃうんだよ             |
( ΛΛ つ >―――――――――――――――――――‐<
 ( ゚Д゚) < おまえのことを必要としてる奴なんて         |
 /つつ  | いないんだからさっさと回線切って首吊れ     |
       \____________________/

(-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ…
(∩∩) (∩∩) (∩∩)

(-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ…
(∩∩) (∩∩) (∩∩)

(-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ…
(∩∩) (∩∩) (∩∩)


124 :プリンス羊:03/01/03 00:47 ID:d7YldbEg
あげ

125 : :03/01/04 11:18 ID:gc3qk7kK
 

126 : :03/01/06 18:39 ID:iI2l/2kI


127 :名無し募集中。。。:03/01/09 08:18 ID:vFTCkr3T


128 :山崎渉:03/01/10 04:42 ID:4v/SGyEY
(^^)

129 :山崎渉:03/01/10 17:02 ID:3Oust735
(^^)

130 : :03/01/11 12:41 ID:Q1TbrSIi
やぐそはもう氏んでいる   2003/01/10(Fri) 23:41

\は〜にゃにゃにゃにゃ!/
   ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ,   _ ノ)
 γ∞γ~  \
 人w/ 从从) )
  ヽ | | l  l |〃   ゞ ∧_∧″
  `wハ~ ワノ≡つ  )(:;:;)◇`;) ※″
     |つ つつつつ =( :; )# | |
   〜.   | ≡つ  )/ /::;; /∪※
     ∪ ∪      く__(_ゝ,,〃


131 :名無し募集中。。。:03/01/13 21:39 ID:E8cRVIa0
>>130そんなのいや

132 :名無し募集中。。。:03/01/16 08:13 ID:VGBArxha
保全

133 :名無し募集中。。。:03/01/18 07:42 ID:cFxm0Pn8
ho

134 :名無し募集中。。。:03/01/19 07:31 ID:sR/c7QsZ
ze

135 :名無し娘。:03/01/19 23:42 ID:iIlcLDxc
保全

136 : ◆yaGUcHISm. :03/01/20 00:28 ID:AcbuO236
        。 ◇◎。o.:O★οo.
       。:゜ ☆::O∋oノハヽo∈。★:o
       /。●。∂ (〜^◇^)O◇。☆
     /  ◇| ̄ ̄ ̄∪ ̄∪ ゚̄ ̄ ̄|:◎:
    /    ○。| Happy Birthday Mari |★
  ▼      。☆..io.。◇.:☆_____| 。.:
∠▲―――――◎。o.:★ ゜◎∂:..


137 :307:03/01/20 21:24 ID:+KjtNGsx
         ∩   ノノハ
     ((( ⊂´⌒つ〜^◇^)つ )))<やぐやぐ20ぅ
今日はここまでかな

138 :サザエ:03/01/20 22:32 ID:89jPKACd
(〜^◇^)ノやぐおめ!一緒に酒を飲もうぢゃないか。

139 :名無し募集中。。。:03/01/22 20:16 ID:h6MScYN6
保全

140 :名無し募集中。。。:03/01/24 08:01 ID:2VGjuFGE
ho

141 :307:03/01/24 21:43 ID:6kWEIXS+
 ノノノノハヽ
川〜^◇^川<やぐやぐ24

142 :山崎渉:03/01/28 14:02 ID:3mTZ7UF2
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉 

143 :名無し募集中。。。:03/01/29 18:17 ID:00cp3dFB
               -=    セイッ!      ガシャッ!      
            -=≡ ∋oノハヽo∈  \从 \\ \  \\ 
            -==⊂(#`D´)⌒ ⊃'ニ;;:*¨ ◎‐┐== ガツンッ!☆
             -==≡ ヽ し/`∴/W   | |   ∧_∧/
                -==  ∪  *;     .| | _l_):::;゜゜;:::)∴::・;:
                               ◎ヽ.| ̄    ……ッ!!

144 :名無し募集中。。。:03/01/31 08:53 ID:kb5ecrbC


145 :名無し募集中。。。:03/02/01 22:33 ID:Rk/POy06
ho

146 :名無し募集中。。。:03/02/02 15:15 ID:PC5ZdZUG
ze

147 :名無し募集中。。。:03/02/04 00:31 ID:LMxEed1m
n

148 :名無し募集中。。。:03/02/04 12:47 ID:Mqf3+tpv
矢口不足

149 :七資産:03/02/04 13:52 ID:gRVzuyxE
めざましテレビの画像ありませんか?

150 :名無し募集中。。。:03/02/04 17:01 ID:9K9k7k8i
>>149
http://sexy-mari.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/source3/yagu0140.jpg
http://sexy-mari.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/source3/yagu0141.jpg
http://sexy-mari.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/source3/yagu0142.jpg
http://sexy-mari.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/source3/yagu0143.jpg

151 :名無し募集中。。。:03/02/06 07:49 ID:qNiwu9uA
h

152 :名無し募集中。。。:03/02/06 19:16 ID:TOyBlm0o
o

153 :名無し募集中。。。:03/02/07 20:23 ID:G233Z0DP


154 :名無し募集中。。。:03/02/09 04:36 ID:FU+FGPNo
MARY,SUCK MY DICK!!!!


























OHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH

I'M COMIN'!!!!!!!!!!!!!!!!

155 :名無し募集中。。。:03/02/09 18:26 ID:q2QVwyyI
pooooooo

156 :名無し募集中。。。:03/02/11 08:36 ID:0Ctg0WeU
h

157 :名無し募集中。。。:03/02/12 08:23 ID:KTqjGzhc
o

158 :名無し募集中。。。:03/02/14 07:40 ID:0UOz68ax
z

159 : :03/02/15 07:05 ID:JLdl1yx7
ここもあげたろ

160 :名無し募集中。。。:03/02/17 17:35 ID:cJ53frRR


161 :名無し募集中。。。:03/02/19 09:56 ID:RutTIOqR


162 :名無し募集中。。。:03/02/20 19:07 ID:f9R17CNb


163 :名無し募集中。。。:03/02/22 02:20 ID:zamIUDSb
ho

164 :名無し募集中。。。:03/02/26 09:59 ID:6LS8+5RX
ze

165 :名無し募集中。。。:03/02/27 15:06 ID:Aqir+Kqe


166 :名無し募集中。。。:03/02/28 18:50 ID:Q19Sw7Zr
(〜^◇^)

167 :名無し募集中。。。:03/03/01 21:12 ID:HhuRXFCP
(〜^◇^)

168 : ◆VJ7LAiKago :03/03/03 00:29 ID:RT/h3PE1
(〜^◇^)

169 : :03/03/04 19:08 ID:58sgswGx
かなり不足

170 :名無し募集中。。。:03/03/04 23:15 ID:kTSZaJZC
p8100-ipad11maru.tokyo.ocn.ne.jpさん
    

171 :名無し募集中。。。:03/03/05 18:17 ID:n8x/jTM8
>>170
だれだよ…

172 : :03/03/06 17:48 ID:S9+HWqGO
>>171
氏ねスレ立てたやつ

173 :名無し募集中。。。:03/03/08 23:59 ID:cHUPBqTJ
そうだったんだ〜

174 : :03/03/10 18:09 ID:N0c2doNU
しかし不足

175 :山崎ゆうた:03/03/10 18:10 ID:ohHKQ8+s
一般的(2ちゃん)に、なっちは豚・辻はゴリラとよくほざいてる香具師がいるが
漏れはなっちや辻よりも加護の方が「豚」や「ゴリラ」と言う言葉がマッチしてる
と思う。

その証拠に加護はなっちや辻も確かに前よりは太ったが、
何より一番、加護が太ったと言えるのではないだろうか?
試しにハピサマの時(http://www.zetima.co.jp/artist/Morning/Disco/22.jpg)
とひよっこりの今(http://www.zetima.co.jp/artist/Morning/Disco/57.jpg)
比べてみるといい。
一番、スタイルが変貌したのは加護とは言えないだろうか?
なっちや辻も確かに前よりは変わったが加護ほどでもないし、
むしろ俺は可愛くなったと思う。

こうして見てみるとやっぱりなっちや辻よりも加護の方が豚やゴリラと言えるではない
だろうか?
語呂(響き)だって「豚安倍」よりも「加護豚」それに「辻ゴリラ」よりも「加護リラ」
の方が俺は、勉強すらできない低脳加護にぴったりのネーミングだと思うし、
何より前に比べて一番デブになったメンバーは「豚加護リラ」なのだから・・・。

そんな俺は今は別にどのメンバーのヲタでもない。だけど漏れは高橋を推しちゃうかな?(藁

        


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