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暇なとき来るスレ

1 :暇な人:02/08/23 16:05 ID:2hchN9zl
暇な人来てくだーさーい 


2 :名無し募集中。。。:02/08/23 16:06 ID:B7+Q+0iO
 ある夜、夏みかんとお塩はプレステをしていた。
『う〜〜ん、また負けちゃった、もう1回。』
 夏みかんは最近見せたことのないような幸せそうな笑顔を浮かべていた。
 そのとき、横にいたお塩が急に体を寄せてきた。
 夏みかんの顔色がその瞬間、変わった。
『やめて。そんな気分じゃない。それに、、、』
 夏みかんは手でお塩を、すっかり醜くなった自分の体から離そうとした。
 お塩は顔を夏みかんの耳元に近ずけてきた。
『今のお前は美しいよ。』
『えっ、、、』
 夏みかんはあっけにとられ、一瞬体から力が抜けた。
 その隙をついてお塩は夏みかんの体に覆いかぶさってきた。
 夏みかんはもう抵抗するのをやめて、お塩のなすがままになった。
 こうして夏みかんの初めての夜が更けていった。
 この後起こることを夏みかんは知るよしもなかった。


3 :暇ではない人:02/08/23 16:13 ID:3lBCq1h/
おもしろいの?

4 :保田募集中。。。:02/08/23 16:24 ID:dNhbaMiC
俺、モー板卒業するわ。

5 :名無し募集中。。。:02/08/23 16:27 ID:2hchN9zl
なんでーーーーーーー!!!!!!!!!!!


6 : :02/08/23 18:11 ID:/U/xZJLG
和田マネと暇ナスターズ

7 :名無し募集中。。。:02/08/25 03:12 ID:To/duAFU
test

8 :名無し募集中。。。:02/08/26 14:56 ID:TrZ5Rnmj
暇だな。

9 :名無し募集中。。。:02/08/26 22:38 ID:43jWJ+xs
大は小を兼ねるとはよく言ったもので

10 :名無し募集中。。。:02/08/28 06:47 ID:/FqTGHTh
暇だ

11 :通りすがり:02/08/30 04:34 ID:xfRyCrwX

ほんと云うと、その日はなんとなく朝から予感めいたものがあった。

カオリはもう何年もちゃんと寝てない。っていうか、モーニングの
メンバー全員、みんな、ちゃんと睡眠、摂ってないと思う。
みんなもう、そういう状態に慣れちゃって、微熱っぽい毎日のなか
でハイテンションに大騒ぎしながら日々をおくってるんだよね。

でも、カオリのばあいはそれに加えて慢性的な不眠症だから、余計
に眠れてない。余計に眠れてないっていうのは、変だけど、そんな
のが当たり前になっちゃってる気がする。


12 :通りすがり:02/08/30 04:42 ID:xfRyCrwX

眠れない夜はえんぴつを握ってスケッチブックに向かうのがいつの
まにか習慣になってしまった。
最初はカオリの手とか、鏡に映したカオリの眼とか、そういうのを
描いていたんだけど、いつからかあたまのなかにぼんやり浮かんだ
もやもやしたものを紙のうえに描きだすのが、日課みたいになって
る。
スケッチブックに向かってえんぴつを動かしてると、目の前の色ん
なものが段々薄くなっていって、最後は真っ白ななんにもないとこ
に机を置いて絵を描いてるようなかんじがする。白い空間をふわふ
わと漂いながら紙に向かうカオリをカオリがうえから眺めてるよう
な。そんなカオリをそのまたうえからカオリが見てるみたいな。

そうなるともう、カオリ、交信状態だから…そのあとのことはよく
憶えてないことが多い。
いつのまにか外が明るくなってることにびっくりしたり、そのまま
机につっぷして寝てたり、ちゃんと布団に潜り込んで寝てたことに
またまたびっくりしたり。
慌てて支度して出掛けるまえに、開きっぱなしのスケッチブックを
覗くと、カオリ自身驚くような絵が出来てたりするのもよくある。


13 :通りすがり:02/08/30 04:44 ID:xfRyCrwX

その日の朝、スケッチブックに描かれてた絵はこんなかんじだった。


14 :通りすがり:02/08/30 05:07 ID:dlEQpV5O

――空に湧きあがった雲がぐるぐると渦を巻いてるなか、ぼうっと
小さな明かりに照らされた地で、手足を折り曲げて小さくしゃがみ
込んだカオリを、魔法少女のような黒い頭巾を被った少女がひとり
ちょっと小首を傾げて覗き込んでる――

すごく目の大きな…カオリよりももっと大きい瞳の少女だ。

丁寧に描き込まれたその瞳は、余りに真っ直ぐすぎて、じっと見て
いるとなんだか不安になってくる。
赤ちゃんみたいに裸のまんまでうずくまってるカオリは、なんだか
輪郭があやふやで、少女に同化してしてしまいそうにも見える。

ふたりのあいだの境界線は、ぼやけて曖昧に描かれてた。
そのまま温められたバターのように、ひとつに溶けてしまいそう。

身支度を整えながら、ずっとその絵が気になって仕方なかった。
なにかが起こりそうな、期待と不安が入り交じった真新しい一日が
これから始まる…という不思議なかんじが消えなかったから。

だから、つんくさんに呼ばれてそのスタジオに足を踏み入れた瞬間、
あらかじめ用意された場所に辿り着いたような、そんな気がした。


15 :名無し募集中。。。:02/08/30 15:00 ID:hVKg9xr2
いいね。続くの?

16 :通りすがり:02/08/31 05:22 ID:J7i3cBrs
>15
しばらく、こっそりと続いてしまいます。
ホントは某エロ小説スレに投下しようとしたネタなんで、
特盛りエロだくの予定でしたが、少しつゆ少な目でいきます。

…しかし、ここのスレタイ、いいなぁ。暇なとき来るスレって。


17 :通りすがり:02/08/31 05:26 ID:J7i3cBrs

カオリは、エレベーターが苦手だ。
なんか湿った金属っぽい匂いも好きじゃないし、ぎゅうっと床に押
しつけられたあとに、ふっと浮きあがる感覚も落ち着かない。
だいたい、何処を見たらいいのか困るじゃない。
じっと数字のランプを目で追いかけてるのも、疲れるよ。

でも、そのときはそんなことも気にならなかった。
目的の階に到達するまでがもどかしくて、足踏みしながら、
(カオリ、はやく。はやく、カオリっ)と歌うような節をつけて、
小さい前ならいした両手のコブシをずっと振ってた。


18 :通りすがり:02/08/31 05:34 ID:J7i3cBrs

つんくさんからの連絡は、こんなかんじだった。
いつものように「どや、飯田、元気か?」で始まって、カオリが答
えるのも待たずに、元気そうやな、なんて勝手に納得して用件に入
った。
それは簡単にいうと、モーニング五期メンバーのオーディションを
覗きに来ないか、ということだった。
まだ候補の娘を絞りきるような段階ではないのだけど、どんな傾向
の子たちが応募してオーディションに臨んで来てるのか、実際に見
てみるのもいいんじゃないか、ということらしい。

カオリも結構そこらへんには、興味があった。
モーニングもいつのまにか、国民的アイドルグループなんて云われ
るくらいに有名になって、そういうのは嬉しいし良いことなんだけ
ど、モーニングに入りたいというよりもなんか芸能界に入るための
きっかけで、みたいな子たちが集まってたら、それはちょっとマジ
勘弁だな、と思っていたから。

モーニングのリーダーとして、よっしゃ見てやろうじゃないの、て
気合いも入ろうってもんだ。


19 :通りすがり:02/08/31 05:47 ID:J7i3cBrs

オーディション中の子たちに気づかれないように、奥のブースに入っ
た。機材の物陰に隠れるようにして、様子を窺う。
ほどなく、つんくさんも資料片手にカオリの隣りにやって来た。
ほんとならこの段階のオーディションを覗きにくることはないんだ
けど、どんな雰囲気か空気を肌で感じることも大事なこと、とか。

そういうもんなんだ、と頷いてたカオリだったけど、いきなり固まっ
てしまった。あたまより先に身体のほうが、素早く反応してた。

必要以上に深々とあたまを下げた少女が、顔をあげた瞬間だった。
その少女とカオリの目が合ったのは。

機材の隙間を高速で擦り抜けながらするすると滑り込むようにして、
少女の視線が、カオリの目のなかに飛び込んできた。
向こう側からは、ぜったい見えるはずがないのに。

戸惑うような少女の瞳が、微かに揺れて…それから焦点がすぅっと
固定されたように、カオリの瞳の真ん中を貫いた。



20 :通りすがり:02/08/31 06:01 ID:J7i3cBrs

「あの子、モーニングにほしいかも……」
と、カオリ、思わず呟いてた。
声に出したこともすぐに気がつかないくらい、無意識に。

「あの子な、紺野あさ美……やな。紺野、か。オモロいな…」

そのときのカオリは、多分、つんくさんの声も耳に入らないくらい
に気持ちがヨソに飛んでいってたと思う。
きっと(また飯田、交信しとるな。しゃーないな)と、つんくさん
2,3度云い直してくれてたんじゃないかな。

つんくさんの囁き声に我に返って、改めて少女のオーディションに
意識を戻す。
駄目駄目。リズム、ぜんぜん取れてない。歌、声がぜんぜん出てな
いじゃない。それに、なんだろ。自信のなさげなおどおどとした態
度。自分でオーディションに応募したんだよね、これって。

なのに、そんな少女に見つめられてどきどきしてるカオリ、変だよ。

「飯田、お前やっぱり天才やな」
つんくさんは、カオリの顔を指さしてクックックと声を潜めて笑っ
ていた。



21 :名無し募集中。。。:02/08/31 13:17 ID:Duo6bEsu
良いねぇ、続きが気になる。
http://tv2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1027284701/
小説総合スレッドに紹介してみてはいかかでしょう。

22 :名無し募集中。。。:02/08/31 20:44 ID:PP1JxWXg
暇なので来てみた。

23 :通りすがり:02/09/01 01:38 ID:JYn6Ll//
>21
多分、殆ど需要がないはなしのような気が…

暇なんで、今夜も続きをば書かせて戴きたく。
あ、タイトルは『境界線(仮)』にしておいたり…。

24 :通りすがり:02/09/01 01:45 ID:JYn6Ll//

カオリと目が合った瞬間の、ビクッと震えた肩。
それから、控えめに目を合わせたわりに、一度視線が絡んだらぜっ
たいに外さないで、と訴えかけるような真摯な瞳。
思わず、カオリの方から視線を外してしまった。こんなことは初め
ての経験だ……。

まだ、どきどきしてた。

何かを懇願するようなひたむきな眼差しを想い出すと、胸の奥が熱
くなる。胸のふくらみの敏感な部分が、固く尖ってくる。
首筋から腰の尾てい骨の辺りまで電気が走ったようになって、腰か
ら下の方がじんわりと重く痺れてた。

あの子、なんなの。どうして、カオリ?
おかしいよ。ぜったい変だって。


25 :通りすがり:02/09/01 01:58 ID:JYn6Ll//

ふいにおしっこがしたくなって、トイレに走った。
個室に飛び込んでとびらをパタンと閉めて、ジーンズをきゅっと引
き下げた。狭い空間のなかにカオリの心臓の音が、ばくんばくん響
き渡ってるような気がする。
トイレに腰を降ろしても、なんにも出てこなかった。お尻のあたり
が、すぅすぅして頼りないかんじがするだけ。ぜったい洩れるかと
思ったほど焦ってたのに。
大慌てでジーンズと一緒に下ろしたパンツ。引き上げようとして、
ビックリした。


26 :通りすがり:02/09/01 02:09 ID:JYn6Ll//

生理が近いわけでもないのに、汚れてる。っていうか、布地の向こ
う側が透けてしまうくらいに、びしょびしょに濡れてた。
そっと右手を足のあいだに入れて、触れてみた。ぬるぬるとした感
触、と同時に身体のまんなかから駆け上がるような刺激が走った。
自然に、足をぴっちりと閉じてしまう。
挟まれた手の指先が、ぽってりと脹らんだぬめりのなかに滑り込む。
ぬるっと沈み込んだ中指の付け根のあたりが、カオリの敏感な突起
にちゅるっと擦れた。

なに、これ!? ちょっと言葉にできないような気持ちよさ。

突き上げてくるような快感に鳥肌が立った。カオリ、やばいよ。
下唇を噛みしめてどうにか声を出すのは我慢したけど、んっ、んっ、
って身体がびくんびくん勝手に仰け反るのは我慢できなかった。

身体が痙攣してるあいだもずっと、さっき見た少女が大きな目を見
開いてじっとカオリを見つめてるような気がして、恥ずかしくて死
にそうだったよ。


27 :通りすがり:02/09/01 02:24 ID:JYn6Ll//
気がつくと、目を閉じて伸び上がるように仰け反るカオリの頬を熱
いしずくが伝ってた。
何故か涙があとからあとから溢れて、止まらなかった。
こぼれ落ちる涙に滲んで、前が見えない。カオリ、目が見えないよ。

意味もわからずぽろぽろと涙をこぼしながら、これまで味わったこ
とのない、充実した開放感をカオリはかんじてた。
リーダーとして、年長組として、カオリ、一生懸命がんばってるよ
ね。毎日、怒ったり、叱ったり、怒鳴ったり……。
でもそんな毎日を過ごしてるうちに、だんだんカオリがカオリでな
くなるような、そんな自分に気がついて。眠れなくて朝までいろい
ろ考え込んじゃったりして。

ほんとのカオリって、どんなだったっけ…?

モーニングのなかで、リーダーって役割を振り当てられた瞬間から
少しづつ変わってしまったような気がする。
リーダーだから、年長さんだから、もう大人なんだから…て?

(でもまだ、大人になる準備、カオリできてないよ……)


そんなすべてのあれこれから、久しぶりに開放されたかんじだった。


28 :通りすがり:02/09/01 02:25 ID:JYn6Ll//

そのままカオリ、10分ちかくトイレでぼおっとしてた。
身体中のちからがふわふわと抜けて、なんにもする気が起きなかっ
たから……。


29 :通りすがり:02/09/01 02:30 ID:JYn6Ll//

それから数日後、つんくさんから一本の電話がかかってきた。
「あのな、飯田には先ゆーとこ思ってな。……紺野あさ美、合格や」


紺野あさ美14歳。モーニング娘。オーディションの補欠合格に…。

それを聞いて、カオリの心のなかに、少し潤んだ大きな瞳をした少
女が、「初めまして、紺野、あさ美です…」て、入ってきたんだ。


30 :21:02/09/01 13:58 ID:TTarVh/x
>>23
そうですか・・・、まあ暇なときに来るスレだからそれでいいのかも。
面白いので先期待してます。

31 :通りすがり:02/09/03 04:52 ID:IMS4hhF7
>21さん
やー、かおこんって需要があるのかワカンナイんで二の足、のの足。

取り敢えず、dat落ちしない程度に完結目指してみますです。

32 :通りすがり:02/09/03 04:58 ID:IMS4hhF7

―ある日の記憶―

普段の紺野は、カオリが知ってる紺野とはまるで別人みたいだ。


「わたし、リナ=インバースみたいになりたいんです」

なにかしら決意を込めたような真剣な言葉……でも、ね。
は? なにそれ。意味わかんないんだけど…

そんなカオリの表情を読んだのか、一瞬息を呑むような仕草を見せて、
それからくちびるを真一文字にきゅっと引き結び、目を丸くする。
まるで、まさか知らないなんてこと、ないですよね? とカオリが
思い出すのを待ってるような風情。

えっと、マジ、カオリわかんないから…


33 :通りすがり:02/09/03 05:12 ID:IMS4hhF7

そのあと、紺野の怒濤のような解説が始まった。
リナ=インバースっていうのは、要するにスレイヤーズってアニメの
主人公の名前らしい。
自称、天才美少女魔道士で、ドラゴンさえもまたいで通るドラまたの
リナとも呼ばれてるとか。
世界最強の魔法使いで、そのうえ剣さばきも凄腕。
お姉さんに「世界を見てこい」と云われて、旅を続けてる女の子。

更に、針金一本でどんな鍵も開けられて、料理も出来て、おまけに竜
の言葉まで解るというなんでも来いの最強の天才魔道士。
…でありながら、気晴らしに森をひとつ消滅させてしまったり、山を
壊して八つ当たりしたり、旅先に出没する盗賊を愉しみながら懲らし
めて路銀を稼いだり……とにかく、めちゃくちゃな女の子だ。

話だけ聞いてると、余りに非道すぎて気持ちが悪くなってくる。

「でも、カッコイイんです。リナさんは」
髪の毛の生え際に汗を浮かべて力説する紺野の目は、いっそうキラキ
ラと輝きを増していく。

「持ってる力を出し惜しみしないところが、いいんですっ」

そう力強く云いきったあと、突然それまでの熱弁が嘘のように俯いて
しまう。夜が来て、朝顔の花びらが静かに閉じてくみたいなかんじで。

「でも、ダメですよね、わたし」
しばらくして、そうポツリとつぶやいた。


34 :通りすがり:02/09/03 05:22 ID:IMS4hhF7

まるで入ってきたばっかりの石川みたいだ。能力はあるのに自信が
なくて、マイナス思考。
何かというと、すぐに、わたしなんて…とネガティブになってたっけ。
(石川、とにかく後ろ向きなことを考えそうになったら、ポジティブ
ポジティブって云いな。言葉に出してるとほんとにそうなるから)
そんな風に石川を諭したことを想い出す。


35 :通りすがり:02/09/03 05:30 ID:IMS4hhF7

「ねえ、紺野…。紺野はね、ダメな子なんかじゃないんだよ。だから
自信を持って、いつも、完璧ですっ!って云っててごらん。そうすれ
ば、ホントに完璧な女の子になれるから、ね」

思わず、肩を掴んで揺さぶってしまう。
いつものカオリが知ってる紺野は、そうじゃないじゃん。
カオリを女の子にしてくれる、唯一の存在なんだから。

「紺野……、完璧です! って云ってごらん?」
「かんぺき、です……」
「そうじゃなくって、もっと力を込めてさ。リナ=インバースになり
たいんじゃないの?」

カオリがそう云うと、顔をあげた紺野、憧れるような眼差しに光を灯
して、強くうなづいた。

「じゃ、いくよ。……、さん、ハイっ。今日の紺野は?」
「はい、完璧ですっ!」

見開いた目に浮かんだ涙を拭おうともせずに、そう云いきった紺野、
余りに健気で愛おしくて、カオリ、抱きしめずにはいられなかった。


―紺野、その瞳で、しっかりと世界を見るんだよ……。


36 :名無し募集中。。。:02/09/03 11:41 ID:BWjelUXD
暇なので読んでみた。

37 :名無し募集中。。。:02/09/06 22:38 ID:BOJPNgPx
続きはまだかしら〜?

38 :通りすがり:02/09/09 04:01 ID:LDS8X49k

―ある日の記憶2―

13人の女の子が、なんの規則性もなく無秩序に放り込まれてる
楽屋は、すごく無防備で悩ましい空間だとカオリは思う。

大きなテーブルのしたから重いバックを引っ張りだして、
ジッパーを開け、カオリがカチャカチャと手際よく机のうえに
三脚を立てて、機関銃をセットしたとしても、多分すぐには誰も
気がつかないに違いない。

カオリが狙いを定めて、引き金を引き絞る一瞬前になってから、
ようやく気がついたように紺野が、
「い、飯田さん!?」と呼びかける。
多分、そのしばらく前から紺野はカオリの行動をちょっと小首を
傾げたままで眺めていたんだろうな、と思う。

でも、もう遅いから。

カオリは、にっこりと最高の笑みを浮かべて紺野にウインク
ひとつくれて照準に向き直ると、
机に投げ出して突っ張った両足でしっかりと三脚を固定してから、
無造作に狙いを定めて人差し指に力を込める。
タタタッと軽快な音を刻んで発射された弾は、テーブルの上の
カールとかポテチとかきのこの山とか、その他諸々のお菓子を
粉々に粉砕していく。飛び散る破片。
くるくると宙を舞うコアラたちが、マーチを奏でる。


39 :通りすがり:02/09/09 04:06 ID:LDS8X49k

「ちょ、ちょっと、カオリ? 何処からそんな……」
直前までのにこにこ笑いをまだその表情に残したまま、あくまで
普通のことを云ってくれるなっちに、銃弾の贈り物。

ダダダダダッ。

背後の壁まで吹き飛ばされてもなお、
(な、なんでなっちからなんだべ?)と不思議そうにカオリに
問いかけてるなっち。
だって、オリメンとしてはなっちにモーニングの虐殺、
見せたくないじゃん……。
だから、なっちから…まず、なっちを撃たなきゃ始まらないから。


40 :通りすがり:02/09/09 04:11 ID:LDS8X49k

「ていうか、機関銃かよっ!」
うーん。ヤグチ、35点。そのまんまのツッコミありがと。
ピタリと自分に向けられた銃口を覗き込むようにして固まった
ヤグチ。いやいやをするように後ずさり、首を振りながら、
「カオリ、マジ、あり得ないから。ね、ね、話せばわかるじゃん」

道化師の仮面を脱ぎ捨てた素顔のヤグチ、なんだか昔のたんぽぽを
想い出すよ。小型冷蔵庫みたいで可愛かったっけな。
だから、そのまんまのヤグチで殺してあげるから…。
素早く単発に切り替えて、胸の中心に、ターンッ。
乾いた銃声が、楽屋の壁を叩く。
背後の椅子に、すとんと座り込むようにして倒れ込んだヤグチは
いつもよりも更に小さく見えた。


41 :通りすがり:02/09/09 04:17 ID:LDS8X49k

「なんだよぉー、カオリ。ふざけんなぁー!!」
えと、圭ちゃん、カオリ、真面目なんだけど。
髪を振り乱してカオリに掴みかかろうとする圭ちゃんに銃口を向け、
撃つ。照準がブレて肩をバシュッと撃ち抜いた。
張りつめた怒り肩の筋肉が一掴み、赤黒い肉の塊と化してすぐ背後の
後藤の膝元にどさりと音を立てて落ちる。

肩を撃たれた反動でくるくるとその場で回転するその姿。
圭ちゃん…。圭ちゃんのダンス、ホント、最高だと思うよ。

綺麗な弧を描いて回転し続ける圭ちゃんから飛び散る血飛沫が
楽屋中の壁にさぁっと刷毛で掃いたような芸術的な絵を描いていた。
熱い飛沫が目の中に飛び込んだのか、高橋が、「あひゃっ」と
小さな声を漏らし、慌ててその声を飲み込んだ。

カオリは、もいちどしっかり狙いを定めて、
圭ちゃんの中心を撃ち抜く。独楽がその回転を止めるように、静かに
速度が落ちて、やがて崩れるように床に沈み込んでいった…。


42 :通りすがり:02/09/09 04:24 ID:LDS8X49k

「…なんか、あのぅ、なんか、あのぅ、ごとーはぁ」
圭ちゃんの肩の肉を抱えたまま、後藤が泣いてた。
カオリ、後藤のことだから、無関心を装って(さてっと…)かなんか
云いながら、楽屋を出ていこうとするんだとばかり思ってたよ。

くちびるをふるふると振るわせながら、後藤は言葉を見つけようと
してた。纏まらない言葉を必死にかき集めながら…。

「なんか、なんか、こういうのって、良くないよぉ、ダメだよぉ」

だよね、良いわけないよね。
カオリだって、分かってるよ。でも、世の中ってどうしようもない
ことがいっぱいあるんだから。
そのまま受け入れなきゃならないこと、あるでしょ?

タンッ!

心臓を撃ち抜かれた後藤は、圭ちゃんの身体の一部をしっかりと
抱きしめたまま、膝を折って前のめりに倒れた。
見開いた目尻からこぼれ落ちた涙が、何を意味していたのか。
カオリ、後藤のこと、良くわからないから。いい子だってことしか。


43 :通りすがり:02/09/09 04:29 ID:LDS8X49k
「飯田さぁ〜ん。なぁ〜んてこと、するんですかぁ〜」
見なくてもわかったから、
取り敢えずその方向に向けて弾を撃ち込んだ。

盲撃ちでも、的が大きいせいか身体のど真ん中に銃弾はめり込んでた。

おなかに撃ち込まれた弾を抱え込んだまま、ずずずっと足を引きづって
カオリに向かって歩いてくる。妙にのほほんとした笑みを浮かべたまま。

よっすぃ〜、アンタだけはホントわかんないわ……。
タン、タン、タン! と続けさまに銃弾を撃ち込む。

まったりと微笑みを顔に貼りつけたまま動きを止めた、と思ったら、
また動き出した…、と思ったら、朽ちた大木のようにどーんと倒れた。

ごめん、カオリ、めんどくさくなっちゃって。


44 :通りすがり:02/09/09 04:37 ID:LDS8X49k

「い、い、いやぁぁぁ! 飯田さんっ、もう、止めてください!」
ぽろぽろと涙をこぼしながら、石川が、悲鳴に似た声をあげた。
背後の、辻、加護、そしてゴキメンたちを守るように両手を広げて。


ポカンと口を開けたままで、カオリを見てる辻。

眉間にしわを寄せて、何故か愉しんでるような、もしくは哀しんでいる
ような、微妙で複雑な、読み取りにくい表情の加護。

ビックリまなこで真っ青な顔をして、小刻みに震えてる高橋。

涙で顔を濡らして、えぐっえぐっとしゃくり上げてる小川。

それから、小さく屈み込んで頭を抱え込んでるサルが一匹…。


膝をがたがたと振るわせて、何故か、がに股で両手を大きく広げて、
必死でそんな彼女たちの前に立ちはだかる石川の姿は、
ちょっとカオリの胸を熱く掻きたてる。
二十四の瞳かなにかに、こういうシーン、あったな、と思う。


45 :通りすがり:02/09/09 04:46 ID:LDS8X49k

「飯田さん! どしてこんなことするんですか!
 わたしたちに、なにか悪いとこがあったら、直しますからっ。
 だから、止めてください。お願いします」

こんな状況でも棒読みな石川……。
でも、その棒読みさ加減には真剣さが滲み出ていて、カオリは思わず
微笑みを浮かべてしまう。

「石川……。石川はさ、モーニング、好きだよね」
なんで今更、とでも云うように、
ぎゅっと目を閉じて強くうなづく石川の目から、涙がこぼれ落ちる。
「好き、です」
「だよね。でも、多分わかんないだろうな……、
 カオリがどのくらいモーニングのこと、好きなのか」
「なら、なんで、こんなことするんですか! 好きなのに」
カオリの言葉に被せるようにして、上目遣いで睨みつけるように
剥き出しの感情をぶつけてくる。

「カオリはね、モーニングのこと愛してるから。それが答え……」

一瞬、気圧されたように息を呑んで、それから諦めに似た吐息を漏らし、
そんなの、そんなの、わかんないですよぉ……という声を遠くに聞き
ながら、カオリは引き金に掛けた指先に力を込め、

た刹那、背後から身体ごとぶつけるようにして、全身全霊でもって
カオリは、羽交い締めにされてた。
(紺野…? 紺野が……)


46 :通りすがり:02/09/09 04:52 ID:LDS8X49k

続けて、両手で後ろから目を塞がれていた。
視界が奪われ、暗闇に落ちる。

「だ〜れだぁ!?」

だ〜れだぁ…て、なんて牧歌的な……。

「こ、紺野? でしょ?」

「違うれすよ、いいらさん。目隠し、……だ〜れだぁ?」
今度は一発でわかった。

「のんちゃんでしょ?」
「あたりれすぅ。なんですぐわかんないですか? 
 あさ美ちゃんじゃ、ないですよ?」


―暗闇がほどけて、視界が明るく広がるといつもの楽屋だ。

カオリの顔を心配そうに覗き込む、辻の妙に真剣な眼差しが痛い。
(ごめん、カオリ、ちょっとぼーっとしてたから、さ)

一転、弾けるように顔をほころばせる辻の満面の笑顔が、カオリの
視界いっぱいに広がった。…おでこ、くっつけて笑うなよぉ、のの。


47 :名無し募集中。。。:02/09/09 23:41 ID:AbdYLGro
期待。

48 :名無し募集中。。。:02/09/11 01:32 ID:tDSyCdQl
hozen

49 :名無し募集中。。。:02/09/11 12:14 ID:0zcHSFsE
暇なので期待してみる。

50 :名無し募集中。。。:02/09/11 16:57 ID:JO7IEZzd
暇なので読んでみたら面白かった

51 :名無し募集中。。。:02/09/13 00:25 ID:d19bhkpj
今度暇なときまでに更新があるといいな

52 :名無し募集中。。。:02/09/14 11:23 ID:h5dUctG4
(`.∀´)<ほっ

53 :通りすがり作者:02/09/15 04:33 ID:ED5vexVS

保全、多謝です。
どこかの街のどこかの暇なひとの暇を潰せるように、
パタパタキーボードを叩いてみますです。
あまり作者が顔を出すとウザイと思うんで、レスとかしないけど
感謝しておりやす。


54 :通りすがり:02/09/15 04:42 ID:ED5vexVS

ぐりぐりと押しつけられるおでこを押し戻すと今度はエスキモーの
挨拶みたいに、鼻先をカオリの鼻のあたまにくぃくぃとすり寄せる。

お菓子の甘ったるい香りが、ふんわりと広がった。

「のんたん、カオリに甘えんナー。ほら、歯にチョコついてるって」
と云いながらも、そんなに悪い気はしない。

なんでかわからないけど、カオリが話をしてると最終的には悪モノ
扱いになってたりして、年長メンバーのなかでも話が合わない…。
下のコたちは完全にカオリのこと怖がっているみたいで、
ちょっと強く注意すればおどおどとカオリの様子を窺うように
なるし、優しい声を掛けると必要以上に馴れ馴れしくなるし…。

無防備に、気持ちそのまんまで飛び込んでくる辻は、カオリに
とって、唯一の存在といってもいいのだ。だから、かわいい。


55 :通りすがり:02/09/15 04:47 ID:ED5vexVS

押し戻されて、くるりとカオリにお尻を向けたのんちゃんは、
「どっしーんっ!」と自分で云って、カオリの膝に飛び乗った。
(いたたたたっ。重いんだよぉ、のの)
そのままお尻をずりずりとずらしながら、カオリの腿に跨るように
乗っかってきた。
落っこちないようにカオリが後ろから手を回して支えると、
だっこされて大満足、とでもいうように足をぶらぶらとさせてる。

おなかをポンポンと優しく叩いてあげる。ぬくもりが心地よい。
辻は、身体をねじるようにしてカオリの顔を見上げると、

「『どうけしの仮面を脱ぎすてて、しずかにねむれ』てなんですか?」
と、小さい欠伸をひとつしてから、訊いた。


56 :通りすがり:02/09/15 04:55 ID:ED5vexVS

(うわっ…、これってもしかして、ひとりサトラレって奴?)
知らず知らずに、どうも口に出してカオリ、喋ってたらしい。
恐る恐る、みんなの様子を窺う。みんな気にも留めてないみたい。
みんなのなかの『いつものカオリ』って評価は正直こういうとき、
助かるよ。

「あ、道化師仮面ってのがいて、それが裸になってお布団に入るの」
「なんでどうけし仮面は、裸で寝るですか?」
「なんだか知らないけど、寝るときはまっぱなんだってさ」
「パンツもはかないですか?」
「うん、なぁんにもつけずに、まっぱなのが道化師仮面の必殺技!」
「でも、風邪ひくですよ?」
「ホントだね、風邪引いちゃうよねぇ…」
意表を突かれて、ブッと吹き出してしまった。

しばらく妙に真剣な顔で、口を半開きにしたまま考え込んでいた
かと思ったら、
「どうけし仮面と新垣仮面、どっちが強いですか?」


57 :通りすがり:02/09/15 04:58 ID:ED5vexVS

……、放っておくと、そのまま、
海は死にますか、山は死にますか? 川はどうですか?
鮭は還ってきますか? なんで鮭は産まれたとこ、知ってますか?
と、質問はいつまでもどこまでも続いてしまいそうだ。
のんちゃん……、3歳児か、アンタは……。

「道化師仮面も新垣仮面もどっちもおんなじくらい、弱いよ」
と云って、カオリは、野を越え山越え谷をも越えてどこまでも続く
線路みたいなののの質問を打ち切った。


58 :通りすがり:02/09/15 05:11 ID:ED5vexVS

のんちゃん、よっぽど新しく覚えた『どうけしの仮面』って言葉が
面白かったのか新鮮だったのか、響きを愉しむように
(どうけしの、仮面を脱ぎ捨ててー、しずかにねむれーイエイ!)
と、節をつけて、呟き混じりに歌いつづける。
ゆらゆらとリズムを刻む身体をカオリに預けながら、
お尻を微妙にずらして、心地よいバランスを探すようにして。

カオリが甘えん坊ののんちゃんを膝のうえに乗せて、あやすように
おなかを叩いてると、ののは、カオリの腿に大事なトコをこっそり
静かに擦りつけてくる。
角度をずらしたり、小刻みに上下に身体を揺すぶったりして
いちばん気持ちの良いところを探し求めるように。

本人はその意味が、あまりわかってないみたいだけど…。

くふん、くふん、鼻を鳴らしながら、
「これ、いいねぇ…」
と、足をぶらぶらとさせながら、独りでぶつぶつ呟いてる……。
俯いて、首筋を真っ赤に染めてちょっと上気した頬。
小刻みなリズムのなかに、法則が生まれて、きゅっきゅっと
擦りつけられるカオリの太腿が、しだいに熱を帯びてく。
間接的にカオリがお手伝いしてるような、微妙にくすぐったい
気持ちが心のなかにじんわりと広がっていった。


59 :通りすがり:02/09/15 05:18 ID:ED5vexVS

ふいに強い視線を感じて、のんちゃんの肩越しに辺りを窺う。

皆それぞれ、お化粧したりお菓子に手を伸ばしたり新しい曲の
振りつけをさらったり、誰もカオリとのんちゃんに注意を
払ってるメンバーはいなかった。
突き刺さるような視線の残像が、カオリの頬の辺りにまだ
残っていたけれど、気のせいかもしれない。
『お手伝い』してる気分が、小さな罪悪感を生んでるせいかも……。

少しどきどきしながら楽屋全体に意識を払うカオリの鼻先を
掠めて、のんちゃんの首筋からふっと立ちのぼる女の子の匂い。


60 :通りすがり:02/09/15 05:25 ID:ED5vexVS

のんちゃんのリズムがしだいに速まり、それに合わせてポンポン
とおなかを撫でるように叩くカオリの手の動きが、頂点に達した。

あぅ、とか、あぐぅ、とか言葉にならない声を漏らして、
もじもじしながら、唐突にののがカオリの膝から飛び降りる。
もぞもぞときまり悪げにオーバーオールのお尻の部分を確かめる
ようにして、そっと手を当てている。
それから、カオリの視線を避けて、鼻のあたまをコリコリと
人差し指で掻いて……ふうっと長く息を漏らした。
そして、トイレに向かってぱたぱたと駆け足…。

(カオリの美脚をそういう目的に使うなよナー)

そんな、いつもと変わらない、何気ない午後のひととき。
(のんちゃんも、ちょっとずつおとなになっていってるんだね)


61 :通りすがり:02/09/15 05:30 ID:ED5vexVS

ののの後ろ姿を見送りながら、カオリはそっと腿に触れてみた。
ジーンズのその部分だけ、しっとりと少しだけ湿り気を帯びている
ような気がする。
重いお尻が乗ってたところを(疲れたぁ)と揉みほぐすような
振りをしながら、撫でさすって……それから、こっそりと手を
鼻先に持っていって静かに匂いを嗅いでみた。

それは、何故か、夏の日の乾いた干し草のような匂いがした。

なんだか妙に懐かしい薫りだった。そんな悪い気はしなかった。



62 :名無し募集中。。。:02/09/15 08:32 ID:KSdq1LBm
暇なので読んでみた

63 :名無し募集中。。。:02/09/15 15:35 ID:ofgTE8zN
たまには暇なのもいいもんだ。

64 :名無し募集中。。。:02/09/15 18:41 ID:ToiQvn/0
久しぶりに来たが、激しく更新されているではないか

65 :名無し募集中。。。:02/09/17 00:47 ID:LA1xu94Q
保全

66 :名無し募集中。。。:02/09/18 12:44 ID:/uJ4No0w
hozen

67 :名無し募集中。。。:02/09/18 20:51 ID:UaONCGpe
暇なので読んでみたらチンコ立ってきた

68 :950:02/09/19 01:28 ID:iW9bnAoO
保田

69 :名無し募集中。。。:02/09/20 21:45 ID:s0+3ooNo
保全

70 :名無し募集中。。。:02/09/23 01:43 ID:CIxdLA3f
ごっつあん、誕生日おめでと→

71 :通りすがり:02/09/23 05:38 ID:PwIWeYX8

料理は愛情というけれど、ほんとにそうだと思う。
ひとりでする食事は、味気ない。
リビングの大きな窓に映る夕日を眺めながら、カオリは考えてた。

カオリが寝起きするマンションのベランダ越しには、東京の
高層ビル群が一望できる。
良く晴れた日の日中は、整然と立ち上がったビルの合間から
富士山が遠く顔を覗かせる姿も見ることができた。
この窓辺に立ってそんな風景を眺めると、北海道の道産子少女が
ほんとに遠いところまで来てしまったんだな、としみじみ思う。

皿に残ったミートソーススパゲティーを流しのディスポーザーに
捨てる。半分ほど食べて飽きてしまった。
フォークにくるくると巻きつけてぼんやりと考え事をしながら
しばらく突っついてみたものの、もう食べる気はしなかった。
ひとり分の量がいまだに分からなくて、ついつい麺をたくさん
茹でてしまうのはいつものことだ。けれど、食べ残してしまうのは、
量が多かったからというワケでもない。
誰かと一緒に何かを食べるのが、食事本来の姿だと思う。
ひとりでする食事は、栄養を補給するための単なる行為にすぎない。
淡々とそういう作業をこなしていると、何だか無性に虚しくなって
しまうのはカオリだけじゃないんじゃないかな……。


72 :通りすがり:02/09/23 05:39 ID:PwIWeYX8

冷蔵庫のパックから注いだオレンジジュースを氷と一緒にひとくち
口に含んだまま、テーブルにぺったりと身体を預ける。
両腕を猫が伸びをするようにいっぱいに伸ばして、
ほっぺたをテーブルにつけたまま氷をかりかりと噛んで、その音に
耳をすませてみる。カリカリ、シャリシャリ。
たちまち口のなかのオレンジジュースは薄まって、カオリの好みの
濃さになった…と思ったら、すぐに色つき水のように味気なくなる。
ちょうど良い味の匙加減は、難しい。それは一瞬で通り過ぎていく。
その瞬間を掴まえようと何度も何度も繰り返してみる。
でも、届いた、と思ったら遙か遠くに逃げていく真夏の逃げ水の
ように、あっさりとカオリの気持ちを裏切ってしまう。

ふぅ…と溜め息が洩れた。

暇なの、カオリ。暇な時間を暇で潰して暇を埋めて立てたら、
お台場のパレットタウンがふたつみっつ出来そうなくらい暇だよ。


73 :通りすがり:02/09/23 05:40 ID:PwIWeYX8

およそ1ヶ月ぶりの完全オフだったのに、
一日中ずうっと眠って過ごしてしまった。
途中、何度か目覚めたけれど、その度に温い枕をひっくり返しては
ひんやりとした心地よさに顔をうずめて、ぐぅぐぅ寝ていた。
それこそあまりにも寝過ぎてカオリの目玉が溶けるんじゃないか、
というくらいに長く深い眠りを貪ってしまった。
思いっきり寝て、もうこれ以上眠ってたらこのまま死んじゃうん
じゃないか、というところで、
伏せておいた目覚まし時計を布団に引っ張り込んだ。
片目だけうっすらと開けて見たら、もう、夜が近い夕方だった。


74 :通りすがり:02/09/23 05:40 ID:PwIWeYX8

夕暮れの真っ赤な空が西の方から次第に紫色に変わってくる。
風に吹きながされて小さく崩れる雲はその色を映しつつ、薄紅を
掃いたような空の大気に溶け込んでいった。
ビルの谷間に隠れた太陽と入れ替わりに、月がいつのまにか
ぽっかりと東の空高く浮かんでいた。

ベランダの手すりに頬杖をついて、カオリはそんな風景をずっと
眺めてた。夕陽が沈むのを見るのは久しぶりだった。
少し強くなってきた風に髪をなぶられながら沈む夕陽を見てると
あたまのなかがカラッポに出来た。なんにも考えずにボケッと
出来る瞬間は、なにものにも代え難いものだと、つくづく思う。


75 :通りすがり:02/09/23 05:43 ID:PwIWeYX8

カオリのマンションから見えるのは、富士山や沈む夕陽だけ
じゃない。もうひとつ、遠くに見えながら圧倒的な存在感で、
いつもカオリの視野の片隅に入り込んでくるものがあった。

立ち並ぶビル群からあたまひとつ飛び出して、一際目立つその姿。
四角いビルのなかで、ぽつんと三角に尖って夜空を指し示す
鉄筋の無骨な塔…東京タワー。
綺麗にライトアップされてても、その中身は空虚な鉄骨、鉄筋を
組み合わせて、ただひたすらに高く高く天高く伸びたスタイル。
一応この街の中心部にすっくと立ってる異色の存在なのに、
訪れるひとは少なく、ちょっと小馬鹿にされてるような存在感。

東京タワーは好きじゃない。どちらかと云えば嫌いだ。

ベランダからそっと手を差し延べると暗闇に白く浮かんだ
カオリの手のひらにすっぽりと収まって、見えなくなる。
手を外すと何もなかったように現れるのが、小憎たらしい。

てっぺんのとんがりを指先で触れてみた。

そこにはただの空気しかなくて、指先にはひんやりとした夜の
気配が感じられるだけだったけれど、尖った先端が、カオリの
心には痛かった。


76 :通りすがり:02/09/23 05:44 ID:PwIWeYX8

「それにしても、暇だよ、ほんと」
カオリは呟きながら、冷たくなったノースリーブの肩を抱きしめ、
とんがり塔の気配を追い払うようにしてカーテンを閉めた。

テーブルの上のすっかり氷が溶けたオレンジジュースを流しに
捨てて、溜め息をついた。
「さてと、どうするかな」
独り暮らしの女は独り言が多くなる、という女性週刊誌の記事を
先日読んだばかりだったけど、カオリは別に気にしない。
独り言が多いのは、昔からだから。癖だから、しょうがないさ。

渦を巻いて流れてくオレンジジュースを眺めていたら、唐突に
黄色いものをスケッチしたくなった。
部屋のあちこちにレモンやオレンジをぽんぽんと置いて、
柑橘系の匂いに包まれて……オブジェ化した部屋を切り取って
スケッチブックにのせていったらきっと愉しいだろうな。
そう思うと、いても立ってもいられなくなった。


77 :名無し募集中。。。:02/09/24 03:01 ID:xwWP+MV1
カオリ間違えて全部読んじゃったよカオリ

78 :名無し募集中。。。:02/09/25 17:46 ID:mbnNxPKi
暇じゃ

79 :名無し募集中。。。:02/09/27 00:33 ID:Hp2jbqo9
暇だぞ。更新はまだか?

80 :名無し募集中。。。:02/09/29 02:26 ID:X+CHjhOW
hozem

81 :名無し募集中。。。:02/09/30 23:35 ID:LNUcYdgd
ひまー

82 :通りすがり:02/10/01 04:15 ID:Vd9ENUwa

鏡のまえに座って、結構いい加減に髪を三つ編みに編んでしまう。
ふたつに編んだ髪をひとつに纏めて、ピンで留める。
少し考えてから、余り目立たない色の服を選んで手早く身につけた。
飾り気のないシンプルな眼鏡をかけて、帽子を深く被る。

鏡のなかには、いつものカオリとはまた少し違う飯田圭織がいた。

化粧っけのない口元が寂しげにみえる。
「リップくらい付けた方がいいかなぁ……」
鏡に向かってにっこりと微笑んでみた。なにか物足りない気がする。
化粧はおんなの鎧だ、なんていうけど、ほんとだ。
すっぴんでいるのは、凄く無防備で頼りない。
何故か気持ちが前にでない、というか、前向きになれない。
綺麗にお化粧した微笑みがヒマワリなら、すっぴんの笑みは、
月見草みたいだ。笑うとカオリの目の下にふたつ引かれる笑いじわが、
いつもより更に寂しげな印象を与えるような気がしてしまう。


83 :通りすがり:02/10/01 04:20 ID:Vd9ENUwa

目尻を猫の目のようにぴーっと引っ張ってみたり、押さえた頬を
頬杖ついたままでグニグニ動かしてみて、百面相。
人差し指を口の両端に引っかけて、鏡に向かってイーだ、してみる。
おバカな顔が鏡のなかから、カオリを見つめてる。
カオリを見つめるおマヌケな百面相が、カオリ自身だと思うと少し
安心する。調子に乗って、ピンクのリップでほっぺたに渦巻きを
書いてみようと思ったところで、我に返った。
(いったい、なーにやってんの、カオリ)
手首を返して腕時計を見たら、もう7時を少し回っていた。

大きめのバックのなかの、ケータイとサイフを確かめて慌ただしく
夜の街に飛び出していった。
部屋の電気は点けたままで。
そうすれば、帰ってきたときに、寂しくないから…。


84 :通りすがり:02/10/01 04:25 ID:Vd9ENUwa

マンションのエントランスから小走りに走り出て空を見上げると、
雲一つない空に、真っ白くひかり輝く月が浮かんでいた。
月明かりが、地面にカオリの影を落とす。
広い公園を足早に横切って(芝生に入らないようにという立て札は
無視無視)、大通りに出た。
木々を渡る風が、頬に心地よかった。

時折タクシーがびゅんと走り抜けてく大通りを背筋を伸ばして
ぐんぐん、ずんずん、大股で歩いてく。
この街は、ガイジンさんの姿も珍しくない。
だから、背の高いカオリの姿も、あんまり目立たない。
時折、あれ? という顔をして、擦れ違いざまに振り返るひとも
いないことはない……けれど、モデルさんや芸能人を珍しがるのは
気恥ずかしい、という心理が働くのだろうか、あからさまにサインを
ねだってくるひとは、いない。


85 :通りすがり:02/10/01 04:29 ID:Vd9ENUwa

ポプラ並木をしばらく歩き、次第に人通りが多くなってくると、
通りの向かい側に『赤旗屋』が見えてくる。
赤旗屋は、輸入物の缶詰なんかも扱ってるスーパーマーケットだ。
北海道出身のカオリの感覚からすると、少し高めの値段、という
気がしないでもないけれど、品揃えは確かで信用できるお店だ。
煉瓦造りの壁にツタを這わせた造りは、英国の気品を感じさせる。
とはいうものの、赤旗屋がイギリスと関係あるかどうかなんて、
カオリは全然わからないんだけど。なんかそんな感じがするのだ。

明るい店内に足を踏み入れると、独特のひんやりとした空気が
カオリを包んだ。薄めた柑橘類の匂いが微かに漂ってくる。


86 :通りすがり:02/10/01 04:37 ID:Vd9ENUwa

カゴを手に2、3歩歩くと、すぐ目の前にフルーツが山盛りに
なってる。オレンジ、レモン、リンゴ、梨、キウイ……。

スーパーマーケットの七不思議…。

店内をぐるりと囲む壁ぞいには、生ものがずらっと陳列されてる。
どんなお店でもそうなってる。
しかも、どんなスーパーマーケットも入り口から近い順番に、
フルーツがあって、次に野菜があって、それから、お肉、サカナ、
お豆腐や納豆、そして、コロッケなどなどのお総菜コーナー。
誰が決めたのか知らないけど、必ずそうなってるのだ。
そのあとは、牛乳とかパン売り場かな。
そりゃ確かに入り口を入ってすぐに、お肉がどーんと山盛りに
なってたら、サスガのカオリも驚くさ。でも、たまには、順番を
変えてもいいんじゃないかな。時々、そう思う。


87 :通りすがり:02/10/01 04:45 ID:Vd9ENUwa

差し当たっての今日の買い物は、レモンとオレンジだけだ。
レモンをひとつ手にとって鼻先に近づけると、甘酸っぱい香りが
胸一杯に広がった。柑橘類の香りは、幸せの香りだ。
形が綺麗なものと、つやつやと黄色に輝いてるものを選んで
どんどんカゴのなかに放り込んでいった。
ひとつ、ふたつ、みっつ……。レモンを7つ。
これと、あれと、あとは……。と、オレンジを8つ。
全部で15個。さすがに大小黄色の玉に満ちたカゴは、ずっしりと
肩に堪える。両手で下げても、肩が腕ごと抜けてしまいそうだ。

取り敢えず買い物はこれだけだから、そのままレジに向かっても
いいんだけれど、これだけ持ってレジに行くとアブナイひとだと
思われそう…。ついでに何か買うものは……でも、そうなると
更に重くなってしまうから、車輪の付いたお買い物ぐるまに
乗せないと……。
アレコレぐるぐると考え事をしながら、立ち尽くしていた。
最初からそうすれば良かった。
けれど、どうも順序立てて物事を考えるのが苦手なのだ。
結局、いつもこうやって後からどうしよう、と悩んでしまう。


88 :通りすがり:02/10/01 04:59 ID:CeEQWOd/

重いカゴを足元に下ろそうと腰を屈めたその瞬間、
どん、と何かが背中にぶつかった。思わず、よろけた。

オレンジの台に手をついて、体勢を立て直し、顔をあげると、
黒っぽいジーンズに青いシャツの男のひとが、通り過ぎざま
カオリにちらりと目をやって、そのまま歩き去っていった。
目が合った瞬間、慌てた素振りで気弱げな視線を逸らせてた。
(すいません、くらい云うよな、フツー)と胸の中で呟いてみる。
背はそれほど高くない。ゆっくりと遠ざかっていく丸っこい
肩が、憎たらしい。無造作に後ろに括ったベタついた髪。
少し猫背で大股に歩く後ろ姿が、印象的だった。

足元のカゴをつま先で軽く蹴って八つ当たりをすませ、気を取り
直して、入り口にお買い物ぐるまを取りに行こうとしたら、
今度は、Tシャツの上に羽織ったパーカーの袖を引っ張られた。
「もう、なんなのいったい……」
と振り返る。
「あのぅ、こんばんは。飯田さん、ですよね?」

少し顔を紅潮させた少女が、金魚みたいに口をぽぅっと開けて
大きな瞳をぱちくりとさせてる。
紺野が小首を傾げて仰ぎ見るように、カオリの顔を覗き込んでた。


89 :名無しさん:02/10/01 12:45 ID:iMPaL1L3
カオリちょっと面白かったよカオリ

90 :名無し募集中。。。:02/10/01 18:40 ID:ZQbEubn8
暇なので読んでみた

91 :名無し募集中。。。:02/10/03 22:20 ID:pmG9YcXu
カオリ今日も暇してるよカオリ

92 :名無し募集中。。。:02/10/04 01:42 ID:RB4URTIr
紺野キタ━━━━(゚∀゚)━━━━━!!

93 :名無し募集中。。。:02/10/04 20:41 ID:P6uodWrJ
(`.∀´)<保

94 :名無し募集中。。。:02/10/05 18:28 ID:i1hPs0kM
(長渕)<ほぉぅずぇんむ

95 :名無し募集中。。。:02/10/06 00:36 ID:x8uidc+O
PO!

96 :名無し募集中。。。:02/10/06 13:17 ID:x8uidc+O
ぽ!

97 :名無し募集中。。。:02/10/06 18:08 ID:M8cuf28+
ぼ!

98 :名無し募集中。。。:02/10/08 13:23 ID:+YbH1/YD
ぴゅ!

99 :名無し募集中。。。:02/10/09 11:00 ID:1/mIkcio
まだぁ?

100 :名無し募集中。。。:02/10/09 13:17 ID:1U6QV8aJ
( `.∀´)<100!!

101 :名無し募集中。。。:02/10/12 16:56 ID:pb0px3+m
( ´D`)<101!

102 :名無し募集中。。。:02/10/13 01:46 ID:+BLh81Yy
早くぅ〜!


103 :名無し募集中。。。:02/10/14 23:53 ID:VURlXSCe
カオリ不足

104 :通りすがり作者:02/10/16 02:27 ID:PdMy+RYQ

すんごい久しぶりですが、続き書きます。誰かわたしに暇を〜。
保全してくださった方、暇が潰せなければ、申し訳…です。

>98さん
閃いたんで、ソレ、イタダキします。


105 :通りすがり:02/10/16 02:37 ID:PdMy+RYQ

今度は一体なんなの? と振り返った――その怒りの矛先を向ける
対象をスカされたように見失って、こちらもポカンと口を開けたまま
で立ち尽くしてしまう。
「……良かった、間に合って」
そう云いながら息を整えるように両手で胸を押さえる様子は、
まるで、息せき切ってこの場に駆けつけてきたみたいだ。
「どした? 紺野。こんな時間に」
「えっと、ちょっと……」
「あのさ、紺野。ちょっとじゃ分からないから、カオリ」
ついつい強い口調で詰問するような形になってしまった。
お仕事のときには、先輩後輩の関係性のなかでアドバイスをしたり、
叱咤激励したりはするものの、こういうプライベイトの時間には
いったいどんな風に話したらいいのか、良く分からない。
ましてや、紺野だから。お仕事抜きの無防備なプライベイト空間に
前触れなく侵入されると、どうしても、あの唐突に訪れた恍惚の瞬間が
あたまのなかを駆けめぐってしまう。
そんなカオリの心を見透かされるのが怖くて、つい、強い調子で
バリアを張ってしまったのかもしれない。


106 :通りすがり:02/10/16 02:45 ID:PdMy+RYQ

「買い物とか? なの?」
少し口調を和らげて尋ねてみた。
「あ、そうなんです。えと、買い物…間に合わないかな、と思って……」
と、紺野は額の汗を拭った。「買い物……。はい、あ、買い物です」
「ふうん、そうなんだ。でもここは夜10時まで開いてるよ」
「ええ? そうだったんですかぁ……。そうだったんだぁ」
あたまの上に浮かんだ吹き出しに、トホホホホ、と書いてありそうな
困惑した表情で、紺野は俯いてしまった。
買い物ねぇ…。ドギマギとしながら答える紺野を見てると、とても
額面通りには受け取れなかった。
だから、ちょっといじわるになってしまう。
だって、お店の閉店時間も知らないなんて、おかしい。それに、急いで
いたワリにはカゴも持ってないし、大体この時間に急いでする買い物って
晩御飯の支度? でも、紺野のおばさん夫婦の家って全然遠いじゃん。
(ふぅん、ま、いっか)
「よし。じゃあ、紺野ッ。一緒に買い物しよう」
「あ、はい……」
なんかヘンだな、と思いつつも深く追求しないのはカオリの癖みたいな
ものだ。ひとそれぞれ、だし、他人のなかに入り込むってことは、逆に
こちら側にも受け入れないといけないということ。
そういうのは、面倒臭い。ひとはひと。そういうのが楽だから。


107 :通りすがり:02/10/16 02:50 ID:PdMy+RYQ

「あの、飯田さん、それ……」
おずおずと紺野が指さす先には、オレンジとレモンが一杯に詰まった
買い物かご。「……すごい、ですね」
「あ、これ? ちょっとね。そういう気分だから、なんてね」
曖昧に笑いながら誤魔化した。やっぱり、ヘンか。
「でも、いい匂いですね。落ち着く香りです」
「でしょ? 柑橘系の香りは幸せの香りだからね。好きなんだ」
「レモンの香りは幸せの香り……。飯田さん、詩人ですね」
「そうかぁ? よし、これからポエマーカオリって呼んでくれよ」
紺野の緊張を解きほぐすように、カオリは腰に手を当て、胸張って
はっはっは、と笑った。合わせて、紺野もクスクスと笑みを漏らす。
そんなカオリたちふたり様子は、もしかしたら端から見ると、
仲の良い姉妹みたいに見えるかもしれない。


108 :通りすがり:02/10/16 03:06 ID:PdMy+RYQ

カオリが押す買い物かごの横にぴったりと寄り添うようにして
歩いていた紺野が、野菜売り場の前で、ふと立ち止まった。
「飯田さん、北海道、ですよね」
「なんだよ、唐突に。そういう紺野も北海道だよな」
「……北海道、いいですよね。トウキビとか美味しいし」
「食べ物、ウマイよな。カオリの住んでたとこは、なっちとかとは
違って、ぜんぜん都会だけどね」
思わず、みんなにイモ、イモ、と呼ばれるなっちの顔が浮かぶ。
「もしかして、北海道に帰りたいとか?」
「んっと、そういうのじゃないんですけど、ちょっと懐かしいな、と
想い出しちゃって……」
「そうだね、こっち来てあんまりひとが多いんでカオリも最初
ビックリしたもんな。ま、いまはもうすっかり慣れたけどさ」
と云いつつも、ホント云うと東京の街はいまだによく分からない。
都内の局を移動するのはロケバス移動だし、オフの日に出歩くって
いっても行動範囲は限られてしまう。そういえば、東京に来て随分に
なるのに、分からないトコだらけだ。
日本全国、地方のコンサートに行っても町中を出歩くワケでもなし、
移動して、歌って、また移動。時々名物のお店に連れてってもらう
くらいのことしかない。――不思議な毎日を送ってるわ、マジで。


109 :通りすがり:02/10/16 03:24 ID:TMLXiIxF

売り場には色とりどりの野菜が所狭しと並んでいる。
背後の鏡に映し出されたものと合わせると、無秩序に植えられた野菜畑
の収穫祭みたいにも見える。そこに、紺野とカオリのふたりだけ。

夕食時の混み合いを過ぎた店内には、人影もまばらだ。

にんじん、ジャガイモ、ピーマン、トウキビの映った鏡の向こう側に、
ちょっと俯きがちの紺野とそれより頭ひとつ高いカオリの姿が映ってた。
帽子を深く被ったふたりのそんな姿は、遠くから眺めると、
野菜畑に佇む、のっぽさんとゴンタくんみたいに見えるかもしれない。


110 :通りすがり:02/10/16 03:29 ID:TMLXiIxF

「北海道か……。遠いもんねぇ」
思わず遠い目で野菜畑の向こう側に想いを馳せてしまう。 
 
「もしも、モーニングになってなかったら、どうしてたかねー」
「……わたし、そういうの考えたことないから、わからないです」
「そっか、でもよ? ひとには必ず何処かに分かれ道があって、その
道の先にはもうひとりの自分がいるんだと、カオリは思うのね」
「はい…」
「そのモーニングにならなかったもうひとりのカオリは、今頃何処で
どうしてるのかな、とか考えるよ。OLさんしてるのかな、とか」

つやつやと光るトウキビの粒々を指で撫でながら、紺野は何か、
物想いに浸っていた。考え事をしながらほとんど無意識に、手にした
トウキビをカオリの押す買い物かごに入れる。
「飯田さん?」と、伏せてた眼差しが眩しそうにカオリを見上げた。
「わたしの考えは、飯田さんとちょっと違うんです」
「いいよ、別に。云ってごらん」
反論ってワケじゃないんですけど……という紺野の目の色を読み取って
カオリは紺野の言葉の先をうながした。


111 :通りすがり:02/10/16 03:36 ID:TMLXiIxF

「あのぅ、飯田さんが、モーニング娘。にならなかったっていうのは、
ないと思うんです。飯田さんは、きっと、必ず、モーニング娘。になる
ように生まれてきたと思うんです、わたし」
「それって、分かれ道とかなかったってこと?」
「分かれ道とか無くてもいいじゃないですか。ひとはそれぞれ何かに
向かって歩いてるうちに、何かになるんです。その目的地って、最初
から決まってるんだと思います。途中でその道から降りなければ……
絶対に目的地に辿り着けるんだ、ってわたし……そう思うから」
「無くてもいい、か。カオリ、モーニングになるって決まってた、か」
まいったな、ホントにまいった。
「紺野、凄いよ、その考え方。カオリの目からウロコぽろぽろだよ」
「えっと、そんな……。わたしなんか、全然ふつーです」
スカートのひだをいじって、ちょっと背伸びするように踵を上げる。
ふぅっと息を吐き出しながらトンっと踵を鳴らす仕草が可愛らしい。
「いっぱい喋ったから、緊張しちゃいました」と、ブラウスの留め具を
指先で摘んで、汗を乾かすようにパタパタと胸元に風を送った。
「じゃあ、紺野もさ、モーニングに入るって予め決まってたのかな」
カオリの不意打ちのような言葉に紺野の手が止まった。
ブラウスの胸元を押さえるようにして、こくりとひとつ頷いた。
「多分……きっと、前から決まってたんだと、思います」

まるで生まれたときから、いや、もっと前から、前世から約束された
ことを告げるような真摯な視線に、カオリは生唾をごくんと呑んでた。


112 :通りすがり:02/10/16 03:44 ID:TMLXiIxF

何か物凄く重大な告白を聞いてしまったような気がして、動揺が
押さえられなかった。確信に満ちた紺野の眼差しは、簡単に笑い飛ばす
ことを拒否していた。盲信とか狂信を越えた真実の重みってヤツ…?

カオリが呟いた「あのこ、モーニングに欲しい…」という言葉を聞いて
つんくさんが補欠合格にした。カオリはなんとなくそう考えてた。
でも、なんでそんなこと云ったんだっけ……。それは――そうだ、
狭いブースの機材置き場の陰で、紺野のあの瞳を見たからだった。
もしくは、紺野の視線がカオリの目のなかに飛び込んで来たから。

それじゃあ、紺野がカオリにそれを云わせたってコト? 

それも何か違うような気がする。そんな能力があれば、カオリにそれ
を使わなくても、オーディションを勝ち上がることは可能だから。
……あのときカオリの目の中に飛び込んできた紺野の視線――その瞳
に満ちた光。カオリが紙に描いた大きな瞳の不思議な少女――。
そのふたつがあたまのなかで、すぅっとひとつに重なった。
あれは紺野、なのだろうか。それって、どういうことなんだろう……。


113 :通りすがり:02/10/16 03:49 ID:TMLXiIxF

「……飯田さん。飯田さん?」
ハッと我に返ると、紺野がカオリの袖口を摘んで引っ張っていた。
「わたし、変なこと云っちゃいました?」
心配そうな色を浮かべて、カオリを仰ぎ見ていた。
「ん、ちょっとカオリ交信してたから」と、不安げな紺野に笑い掛ける。
「わたし、ときどき、変なこと云っちゃうんです。で、『アンタ、アニメ
の見過ぎだよ』って、他人から、よく怒られちゃうんです」
「大丈夫。交信してただけだから。さ、早く買い物済ませちゃおう」
ヘンなのはお互い様だ。胸の奥に去来したもやもやはまだ残っていたが、
それを打ち払うように、買い物かごを勢いつけて押し出した。


114 :通りすがり:02/10/16 03:56 ID:TMLXiIxF

かごの車輪が床にきゅっと擦れて微かな音を立てる。
背後の紺野がついてくる気配がない。
(今度は、紺野が交信中ってコト?)
振り返ると、その場に佇んだ紺野はカオリの背中をじっと目を凝らす
かのようにして、見つめていた。

「飯田さん、背中……なにかついてます」

そう云って、小走りに近づいた紺野はカオリの背中に触れた。
カオリの背をそっと撫でて、その手を目の前に差し出す。
白濁した粘液状のものが、紺野の手のひらにべっとりとついてた。

その様子は、未知のものを母に差し出す幼子のようにも映った。

粘りけのあるソレを親指と人差し指を擦り合わせるようにして、
「なんでしょう、これ」
手のなかのねっとりと糸をひく液体に、瞳を丸くして、小首を傾げる。


115 :名無し募集中。。。:02/10/16 13:38 ID:tQ24L2Qv
暇なので読んでみた。

116 :名無し募集中。。。:02/10/16 17:37 ID:qwTOXgm4
カオリだんだん好きになってきたよカオリ

117 :名無し募集中。。。:02/10/16 18:40 ID:YKdqIks/
かおこん、新しいよ、斬新だよ、カオリ。

118 :名無し募集中。。。:02/10/19 15:11 ID:GtC9fpki
暇人参上。

119 :名無し募集中。。。 :02/10/21 15:12 ID:OAAJZvfB
保全


120 :名無し募集中。。。 :02/10/21 15:17 ID:OAAJZvfB
保全


121 :名無し募集中。。。 :02/10/21 15:22 ID:OAAJZvfB
保全


122 :名無し募集中。。。 :02/10/21 15:28 ID:OAAJZvfB
保全


123 :名無し募集中。。。:02/10/23 17:51 ID:4RFnGsoR
保全


124 :名無し募集中。。。:02/10/25 15:51 ID:U+y8hqtW
かおり募集中

125 :_:02/10/27 21:04 ID:uJV5HV81
暇だな

126 :名無しべいべー ◆Tqq.iVopG2 :02/10/27 21:05 ID:3T87BPWe
蝦人参上

127 :名無しさんは見た!:02/10/27 21:10 ID:Jja3ZnDq
暇ならここに来るべし

http://www.ken-on.co.jp/oshio/faq/
おまえら大変だ!
押尾のオフィシャルサイトで、したい質問を投票で決めて、答えてもらうコーナーがある!
ここで、「1」という質問に投票だ!2chの力を見せてやれ!!


128 :名無し募集中。。。:02/10/28 22:25 ID:dUPwvBNJ
ちょっと暇解消

129 :名無し募集中。。。:02/10/31 11:15 ID:ohR0GF8L
暇なので保全してみた

130 :名無し募集中。。。:02/11/04 07:14 ID:Y5AU0Tdj
(`.∀´)<保

131 :名無し募集中。。。:02/11/04 10:52 ID:+HtWFc0D
∬´▽`∬< ダァーーッ!

132 :名無し募集中。。。:02/11/06 03:52 ID:EjyoDXvR
この時間、 ひ ま じゃ ー !

133 :通りすがり作者:02/11/06 05:14 ID:XjRTbbPp

暇保全、多謝です。
週末の暇なときに更新するつもりだったんですが、早起きした
もので、キリの良いところまで続きを書いてしまいます。
…二日酔いには、冷たい水が美味しいですね<呑みすぎ

いま頭に浮かんでる、凄い紺野まで、書けるかどうか……。


134 :通りすがり@カオリの境界線:02/11/06 05:22 ID:XjRTbbPp

紺野の手を取ってソレを見た瞬間、全身の血がさぁーっと音を立て
て引いていくのが自分でもわかった。目の前で、口をぽぉっと半開
きに尖らせたままで立ち尽くす紺野までもが、汚らしい悪意の犠牲
に……と、思いが飛んだとたん、一度引いた血が逆流するように押
し寄せてきた。頬が紅潮するのが、わかる。
「いいから、紺野ッ、目、つむりなさい」
唐突なカオリの言葉に、えっ、でも、と戸惑う紺野の真っ直ぐな視
線を遮断し、片手で前髪ごと抱え込むように視界を塞いだ。
その隙に、空いている手で肩から提げたカバンを探った。あった。
いつもカバンの内ポッケに入れてるピンクのハンカチを手探りで素
早く取り出す。
口元に持っていったハンカチを唾で軽く湿らせて、紺野の手のひら
と指先を丹念に拭った。少し乾きかけた粘液は、カオリの唾液と混
ざって、かえって生々しい匂いを立ち上げるような気がした。が、
それは気のせいかもしれない。そのときカオリの脳裏に過ぎったの
は、(やっぱ、口紅つけてこなくて良かったな。つけてたら、紺野
の手も真っ赤っかになってたかも…)という、状況にそぐわないも
のだった。ひとは、極限状況に置かれるとぜんぜん違うこと考えて
しまうのかも、と、しんと妙に醒めたあたまの片隅が答える。


135 :通りすがり@カオリの境界線:02/11/06 05:30 ID:XjRTbbPp

幼子のようにされるがままになっている紺野の手を拭いながら、
ふとなんの気なしに、野菜畑の鏡に視線を投じた。もしかしたら、
鏡越しの目線を無意識に感じたからかもしれない。
鏡に映る野菜畑のふたりのあたま越し。日用雑貨が並ぶ棚の向こう
側に、黒っぽい人影が揺れた。
その人影は、鏡越しのカオリの視線に気がつくと残像を残してフッ
と掻き消えるように居なくなった。
(あ、あれって、さっきカオリにぶつかってきたヤツじゃん?)
と、どんっ! とカオリとぶつかって何も云わずに去っていった男
の気弱げな顔と棚の隙間から覗いていた残像の主が、ひとつに重な
っていく。と同時に、カオリのなかで緊急警報がけたたましく鳴り
響いた。
「紺野ッ……」と押し殺した声で囁いた。「行くよ、付いてきて」
視界が回復して、突然の光に目を瞬かせながら見上げる紺野のあた
まの上には、疑問符が大量にバラ巻かれてるカンジだった。でも、
詳しいことを話してるばあいじゃない。緊急事態なの。
素早くシャツの上に羽織っていたパーカーを脱ぎ、裏返しに丸めて
カバンのなかに押し込んだ。お気に入りだったのによぉ。
あのぉ……と何か云いたげな紺野の手を(あとで)と合図するよう
にポンポンと軽く叩き、握った手を離さずそのまま買い物かごを押
す片手に力を込める。


136 :通りすがり@カオリの境界線:02/11/06 05:39 ID:XjRTbbPp

買い物を放棄して、紺野と店内から走り去ることも考えないではな
かった。でも、出来るだけ刺激することだけは避けたかった。
何事もなかったかのように振る舞い、お菓子売り場を抜けて、レジ
の列に並んだ。どの列も2,3人の客しかいなかった。
まばらな客の列はすぐに精算を終えて、カオリたちの順番がきた。
大量の柑橘果実に目を丸くして、ついでカオリたちを見てもう一度
驚くレジ係のコが、何かを云いかけて飲み込んだ。
(モーニング娘さんの、飯田さんと紺野さん、ですよね。いつもテ
レビで見てます。ファンなんです。良かったら、サインお願い出来
ませんか? 大好きなんです。いっつも見てるんです……)
そんな心の声が聞こえてきそうだった。
思わず、『いま、ヘンなひとに尾けられてるんです。警察、呼んで
貰えませんか?』という言葉が喉元まで出かかった。けれど、もし
ハナシが大きくなってしまったらどうしよう…と考えると、躊躇し
てしまう。明日のスポーツ新聞、ワイドショーの惹句が目に浮かぶ。
―モーニング娘。ストーカー被害 娘。たちの夜の行動―とか、色
んな報道されて、その後、後追い取材されて……と思うと、二の足
を踏んでしまう。
いま、目の前で(ファンなんです)と目を輝かせてるレジバイトの
コだって、嬉々として取材に協力してアレコレあることないこと記
者に語ってみせるに違いないんだ。大ファンなんです、と云ったそ
の口で好奇心丸出しの語りを繰り広げる、表裏一体の存在を想像す
ると気が塞いだ。とてもじゃないけど、云えないよ。


137 :通りすがり@カオリの境界線:02/11/06 05:40 ID:XjRTbbPp

ふと視線をスーパーの窓越しに移すと、そこには、あの男が居た。


138 :通りすがり@カオリの境界線:02/11/06 05:47 ID:XjRTbbPp

妙に無表情な透明な視線をカオリたちの頭上に彷徨わせていた。

目線を合わせることも出来ない癖に……と思うと怒りが込み上げて
くる。でもその怒りは、恐怖に彩られた怒りでもあった。
(モーニング娘。さんの大ファンなんです……)というレジ係とカ
オリたちを汚した男は、表と裏のコインみたいなものだ。くるくる
と回せば、どちらに転ぶか分からない。そんな気がした。

一度飲み込んだ言葉を外に出そうか、どうしようか、迷った。
迷いながら、言葉を紡ぎかけた。その刹那、カオリの手から熱い何
かが流れ込んできた。握りしめたままの紺野の手が、思いもよらな
い力で、カオリの手を握り返していた。
ふいを突かれた驚きとともに紺野に意識を戻すと、握った手に更に
力を込めて、紺野は、微かに首を横に振っていた。
ダメです。云っちゃダメです。早くこの場を立ち去りましょう、飯
田さん……とでも云うように。
カオリが混乱したあたまをひとつに纏めようとしたとき、レジのコ
が、「会計は、2130円になります」と云った。
お金を支払いながら、カオリが「レジ袋、いらないから。このカバ
ンに入れるし」と云うと、女の子はにっこりと笑って、はいッ、と
店のスタンプシールを20枚くれた。サービスのつもりだったのか
もしれない。……でも、多分、この店、二度と来ないよ、きっと。


139 :通りすがり@カオリの境界線:02/11/06 05:52 ID:XjRTbbPp

カバンにレモンとオレンジ、それから何故か一本紛れ込んでたトウ
キビを慌ただしく放り込みながら、通り越しの窓ガラスに男の影を
探す。ひとの気配がすっかり少なくなった舗道に、その人影はなか
った。でも、まだカオリの警戒警報は鳴ってた。黄色信号だ。
「ごめん、紺野。ちょっと付き合ってくれる?」
と一声掛けて、手を握ったまま、外に出た。
ずっしりと肩にかかる重みは、邪魔になるかもしれない。けれど、
いざというときに、振り回せば武器になるかも……。武器……?
すでにそんな事態を想定してる自分にちょっと驚いた。

ひんやりとした夜風が心地よい。真っ白に輝く月の光が舗道に並木
の影を投げかけていた。足元にカオリと紺野の影が落ちてた。
「しばらく一緒に歩いててね。離れちゃダメだからね、紺野」
とカオリが耳打ちすると、次第に状況を理解しつつあるのか紺野も
俯きがちに視線を伏せて、「はい……」とひとことだけ呟いた。


140 :通りすがり@カオリの境界線:02/11/06 05:56 ID:XjRTbbPp

月の光に照らされて、時折木々を揺らす風に髪をなぶられながら、
歩いた。言葉も交わさずに。
走り抜けてくタクシーのヘッドライトがカオリたちに当たる。明る
いスポットライトみたいだった。ピンスポを当てられて浮かび上が
るカオリと紺野。そんなだったら、どんなに平和かと思う。
手を繋いでこうして静かな夜にふたりで歩いていると、ヘンな男に
つきまとわれて嫌なことをされたのを忘れてしまいそうになる。
このままふたりで夏の夜、どこまでも歩き続けて……という夢を見
てしまいそうだった。ふたりでする夜の散歩は愉しいに違いない。
まだよくわからない紺野のことも知りたいし、カオリのことももっ
ともっと知って貰いたい。
それに、
(モーニングになることは、決まってた……)その言葉の意味を
詳しく聞いてみたい、と思った。


141 :通りすがり@カオリの境界線:02/11/06 06:08 ID:XjRTbbPp

「あのさ、紺野。さっきのハナシなんだけどさ」
「はい? さっきの話ってなんですか?」
風に煽られた髪を人差し指に巻きつけて直していた動きを止めて、
カオリの視線を真っ直ぐに受け止める。
「ん、だからさ、さっきの……」と云いかけたカオリの視線の先に
ポケットに手を入れてリュックを背負った男が立っていた。
青いシャツに黒のジーンズ。長く伸ばした髪をひとつに結んだ姿は
間違いなくあの男のものだった。
舗道の植え込みにぬっと立ち尽くす男は、月光の明かりを避けるよ
うに並木に寄りかかってた。カオリたちと視線を合わさずに、足元
を見つめていた。
思わず駆け出したくなる気持ちを抑えて、努めてゆっくりと歩を進
めた。カオリに握られた手を通じて、紺野も緊張感を感じ取ってい
るかのように、俯きがちに歩き続けた。
目を合わさないように、それでも極めて自然に振る舞いながら、男
の横を通り過ぎる。なにも声を掛けてこなかった。
そのまま身体を固く強ばらせて、歩く。通り過ぎたとたんに、強い
圧迫感を感じさせる視線を首筋に感じた。見られてる。
汗ばんだ手のひらに力を込めて、紺野の手を握り直した……その隙
を狙いすましたように、
「こんばんは……」
と真後ろから声が飛んできた。
状況とそぐわない、普通の夜の挨拶が、カオリに危険を告げていた。


142 :名無し募集中。。。:02/11/07 15:24 ID:RQD/Eq+A
カオリこれ(・∀・)イイねカオリ

143 :名無し募集中。。。:02/11/09 16:39 ID:ZGvSnA5x
保全


144 :名無し募集中。。。:02/11/10 00:40 ID:MOgLMvLV
ドキドキ♪

145 :名無し募集中。。。:02/11/10 08:16 ID:rYd+pRUF
暇なので読んでみた。

146 :名無し募集中。。。:02/11/11 02:54 ID:nvUyTo0j
暇なので保全します。

147 :名無し募集中。。。:02/11/11 19:31 ID:nvUyTo0j
暇なので保全

148 :名無し募集中。。。:02/11/13 09:54 ID:Nkuy2iu3
保全ヌ。。。

149 :名無し募集中。。。:02/11/14 02:45 ID:Q0HoQ0vO
暇なので

150 :名無し募集中。。。:02/11/16 01:31 ID:Hvoz0nhF
暇な

151 :名無し募集中。。。:02/11/21 22:02 ID:C894dL7R
( ´D`)ひまなのれす

152 :名無し募集中。。。:02/11/22 17:01 ID:KxeWpaRp
hima

153 :名無し募集中。。。:02/11/23 00:34 ID:/H81rjpf
川 O・-・)<いつ来るでPo・・・?

154 :名無し募集中。。。:02/11/25 23:44 ID:BZVqXo0B
( ´D`)まったりひましてるのれす。こんちゃんもいっしょにひまするのれす。

155 :名無し募集中。。。:02/11/27 17:28 ID:NzEZ2aaS
( ´D`)ひまなのれす

156 :名無し募集中。。。:02/11/27 21:58 ID:jshShOLg
( ´D`)ひまんじなのれす


157 :名無し募集中。。。:02/11/28 16:06 ID:jtQZDAA0
( ´ Д `)<んぁ〜。年末はひましてるよ〜

158 :名無し募集中。。。 :02/11/28 17:23 ID:ngk69wDR


159 :名無し募集中。。。:02/11/29 10:02 ID:qRb41kNQ
暇だから来てみました

160 :名無し募集中。。。:02/11/30 22:51 ID:gA4IwZBV
□煽る
□荒す
☑ฺ終了

161 :通りすがり作者:02/12/01 00:28 ID:ZQK8ibP8

激遅ですが、完結目指して少し書きます。
スレが生き残っていて、なんだか凄く嬉しい…。


162 :カオリの境界線:02/12/01 00:40 ID:ZQK8ibP8

「そのまま、絶対振り返っちゃダメだからね」と声を押し殺して紺
野に囁いた。「前向いて歩きなさい」
もし振り返ったなら、汝は塩の柱となって朽ち果てるだろう……
いにしえの神話の一節が脳裏を掠め飛んだ。
モーニング娘。十箇条、ひとつ、絶対に後ろを振り返らないこと。
ゆっくりと歩き続ける紺野の後ろ姿を見送りながら、カオリの意識
のなかに、何故かコンサートのステージに飛び出していく娘。たち
の姿が走馬燈のように浮かんでいた。
毎日のようにコンサートをこなしていても、ステージに立つのは怖
い。勢いよく前だけを見て走り続けることでその恐怖感は薄れる。
ためらいは厳禁。絶対に前だけを見て歩き続けること。過去を振り
返らずモーニングとして未来だけを見つめていく。光のなかへ。

心のなかで、『しょいッ』して振り向いて、男と対峙しようとする
自分がいた。と同時に、そのまま紺野さえも追い抜いて駈けだして
しまいそうになる自分もいた。
(カオリ、リーダーじゃん。こういうとき、どうしたらいいか分か
るでしょ? 分かるよ、分かるけど、やっぱ怖いじゃん。でも……、
リーダーでしょ? リーダーでしょ? カオリ、リーダーでしょ?)
あたまのなかにわんわんと自分の声が反響していた。
半ベソをかいてる子供のように、顔が歪む。く、くっそー!
(『頑張って…いきまっしょいッ!!』)
走り逃げ、男から遠ざかっていく自分の残像から身体を引き剥がす
ようにして、両足を大きく踏ん張って拳を強く握った。


163 :カオリの境界線:02/12/01 00:46 ID:ZQK8ibP8

意を決して振り返ったカオリの鼻先、息が掛かりそうなところに男
は立っていた。思わず、反射的に一歩飛び退いた。
「こんばんは、カオリン。ボクのこと、覚えてます?」
カオリの胸や肩の辺りに視線を彷徨わせながら、ぼそぼそとした変
に濁った声が、男の唇の周辺から漏れ出していた。
わらわらわらわら、と薄く開いた唇から小さな虫が這いずり出て来
そうな気さえした。
「え? あ、ごめんなさい。カオリ、よくわかんない……」
云いながら、男の目標が自分であったことに安堵と恐怖が入り交じっ
た複雑な思いに捕らわれた。(紺野、振り返っちゃダメだからね)
「ほら、イラストエッセイの握手会で、かすみ草を渡したじゃない
ですか。あのときのボクですよ。覚えてる癖に、ヤダな、もう」
カオリの胸の内を無視するように、男は言葉を続けた。
「たぶんこれは覚えてないと思うけど、オリメンの手売りキャンペ
ーンのときも、握手したんですよ。あのときは5万分の1で、その
次が3千分の1で、……イキナリ1分の1だもんな、驚いたな」
独り言のようにぼそぼそと呟き続ける姿を見てたら、思いだした。


164 :カオリの境界線:02/12/01 00:52 ID:ZQK8ibP8

両手一杯のかすみ草を抱えて、少し身体を傾けたままカオリの前に
立ち尽くしていた姿。しばらくじっと身動きもせずに床に視線を落
としていた。係員さんにうながされて、手にした花をカオリに渡す
と「これ、かすみ草です」と目を伏せたままで呟いていた。
(ありがとう、でも、見ればわかるよそれは)
「どうもありがとう、綺麗なお花」
にっこりと笑ったカオリを盗み見るようにちらりと視線を合わせて
から、手を差し出してきた。その手のひらの感触、思いだした。
しっとりと湿った汗とは違う感覚。少し粘り着くような妙に吸い付
いてくる握手だったのを覚えてる。
無意識におしぼりで手を拭いたような気がする。
あとでスタッフさんにそのことを伝えると、
「ときどき握手の前に変なもの握ってきてたりするから、気をつけ
なよ」と云われた。
カオリが首を傾げてると、不審そうな表情を見て取ったのか、
「ほら、牛のうんことか握って来たりして」と冗談交じりに笑い、
「ちゃんと手、洗っときなさい」
そう肩をポンと叩かれたんだったっけ。
「牛のうんこって、そりゃないよぉ〜」とその時カオリは思わず叫
んでた……けど、牛のうんこの方がマシだ。
どういうことか、いまになって分かった。すっかり分かった。


165 :カオリの境界線:02/12/01 00:54 ID:ZQK8ibP8

上着を脱いだ素肌にひんやりとした夜風があたる。
少し肌寒く感じるのは、あるいは悪寒なのかもしれない。
無意識に抱えた腕を撫でさすっていた。


166 :カオリの境界線:02/12/01 01:03 ID:ZQK8ibP8

「寒いの? 寒かったらパーカー羽織ればいいじゃないか。カバン
のなかに入ってるでしょ? それ着ればいいじゃない」
カオリが肩から下げた大きく膨らんだバックを指さして、それから
またジーンズのポケットに手を突っ込んだ。もぞりとポケットのな
かの手が、動いていた。
(あんたが着れなくした癖に、ふざけんなよ)
そう云いたかった。けれど、云えなかった。
「別に寒くないから、大丈夫。ちゃんと覚えてるよ、綺麗なお花、
どうもありがとう。これからも、応援してくださいね」
オウエンシテクダサイネ……定型分その1、を精一杯の微笑みと一
緒に押し出した。オウエン、オウエン、応援ってなんだろう。
「花のお礼なんて、いいんだよ。ただの気持ちだからさぁ」
ぐずりと鼻を鳴らして男は唇の端を歪めた。
「いいらさん、綺麗だから……」唐突にビクンと仰け反るような仕
草を見せて、「いいらさんが、かすみ草のなかのバラだから…ね。
かすみ草だけで、充分なんだよ」
「あ、ありがとう」としか言葉が出なかった。(紺野は、もう遠く
に逃げることが出来ただろうか…)
微かに不規則な痙攣で身体をヒクつかせながら、男は、頷いた。
「ここで逢ったのも、運命かもしれないね。いいらさん、運命って
信じるタイプ? ボクは、信じるタイプだよ」
運命……? 運命って言葉をそんなことに使うな。ひとの運命って
そういうのとは違うじゃん。もっと崇高な使命を伴ったものだって。
紺野が真剣な眼差しで訴えかけていたモーニングに入るのが自分の
宿命だった、て言葉を汚されたような気さえした。
肉体的にも精神的にも、2度に渡って汚された。そんな気がした。


167 :カオリの境界線:02/12/01 01:13 ID:ZQK8ibP8

「取り敢えず運命的な出逢いに感謝ってことで、握手してください」
大きく鼻を啜って、もぞもぞとジーンズのポケットのなかで動かし
ていた手を引っ張り出した。「握手しましょうよ、ね」
「……いいらさん、綺麗だから……」

伸びてくる手と同時に粘り着くような視線がカオリを捉え、言葉が
発せられた(いいらさん、綺麗だから)瞬間に、キレた。
初めてキレるというのがどういうことなのか分かった。
考える間もなく、無意識の内にダンスの要領でクッションの利いた
スニーカーをアスファルトに押しつけた。瞬時にバランスを確保す
る。と同時に振り上げた足が天高く加速する。その勢いのままで、
固いゴムで守られたつま先は、男の股間目掛けて伸びた。
が、勢い余って高く上がった足は股間には当たらず、男の鳩尾辺り
にめり込んでいった。握手しようと前屈みになった男の胃袋につま
先が食い込んでいた。
膝を着いてげえげえとモドし始めた吐瀉物の跳ね返りを後ろに飛び
すさって避けた。アスファルトの地面に手をついて吐く姿。見下ろ
す視線の先には、路面にべったりとついた男の手形。
ねっとりと糸を引いた手形が、カオリを現実に引き戻した。
(逃げなきゃ。早く、逃げなきゃだめ)
「てめぇ、待てよ。握手してくれって云っただけなのによぉ…」
恨めしげに見上げる男の絡みつく視線を振り切って、2,3歩後ず
さった。今頃になって足がガクガクと震え出す。
「バカっ、あんたなんか、ファンじゃないッ。ファンじゃないッ!」
叫んだ勢いで自分を奮い立たせて、背を向けた。首筋に痛いほどの
圧迫感を感じる。胸がむかついて、吐きそうだった。


168 :カオリの境界線:02/12/01 01:14 ID:ZQK8ibP8

固い地面を蹴るような勢いで走った。
全力疾走でシャッターの降りた店を横目に駆け抜けた。


169 :カオリの境界線:02/12/01 01:25 ID:ZQK8ibP8

そのまま息が続く限りどこまでも駈けていこう、と今にも追いすがっ
てカオリの背に飛びかかって来そうな幻影を振り払いながら走った。
肩に掛けたバックが飛び跳ねる。ごつごつとした果実の丸みがカオリ
の背をどんっどんっと叩き続けていた。
「あ、あのぅ、飯田さん、ま、待ってください……」
疾走するカオリの耳に、小さくか細い声が飛び込んできた。
(紺野? なの?)
スニーカーの底が舗道の地面に擦れてきゅっと音を立てた。
勢いを殺し、振り向くとガードレール脇の植え込みがカサカサと揺
れた。駆け寄って覗き込むと、ちっちゃく膝を抱え込んだままの紺
野が植え込みの影にしゃがんでいた。
「馬鹿、なんで逃げないんだよ」
腕を掴んで引っ張り上げ、「でも」とか「あのぉ」とか呟くのを唇
に人差し指を当てる仕草で制した。
「いいから、紺野、走るよ」
「あのぉ、わたし、走るの得意なんですっ。はい」
「得意…って……じゃ、なんであんなとこにしゃがんでたのさ」
「だって……飯田さん、心配だったし。待ってたんです」
「もう、あんたは自分の心配だけしてれば、いいの!」

紺野、振り向いちゃ駄目だからね。そう声を掛けて腕を引いた。

走りながらちらりと後ろを確認した。大丈夫だ、男の影は見えない。

そのまま紺野の手を引いて、ビルの間に出来た狭い空間に身体を滑
り込ませた。肩から下げたバックが壁にぶつかって、鈍い音を立て
て跳ねる。揺すり上げたバックから、柑橘の香りが洩れた。


170 :名無し募集中。。。:02/12/01 12:44 ID:x+Ir8Y0f
カオリ カコイイ!!カオリ
こんこんかわいいこんこん

171 :名無し募集中。。。:02/12/01 21:53 ID:stYWcYRr
かおりかわいいよあさみ

172 :名無し募集中。。。:02/12/02 23:15 ID:lGvRlw/a
ま〜ひ〜

173 :名無し募集中。。。:02/12/04 11:29 ID:ITU7/+w3
せんだみつおばりにひましてます。

174 :sagfe:02/12/04 23:39 ID:QBWu2SF2
asee

175 :さげ:02/12/05 00:35 ID:YGFRMrqH
てす

176 :名無し募集中。。。:02/12/05 11:26 ID:ilizvV+S
def jam

177 :名無し募集中。。。:02/12/07 01:24 ID:DUe9xUTN
川 O・-・)<ほっ

178 :名無し募集中。。。:02/12/08 07:03 ID:ftMUvZO+
hi ho ze

179 :名無し募集中。。。:02/12/09 03:31 ID:wL9Iwoa/
ishikawanomankonametai

180 :名無し募集中。。。:02/12/09 09:21 ID:KubWzhAg
saae

181 :名無し募集中。。。:02/12/12 11:50 ID:/ibfmsGz
trec

182 :名無し募集中。。:02/12/13 00:18 ID:rGTehsIv
http://ime.nu/ip0.tosp.co.jp/Kj/Tospi200.asp?I=ys50151&P=0&Kubun=K3

183 :名無し募集中。。。:02/12/13 23:25 ID:zVMvG8pO
kaori mada……

184 :カオリの境界線:02/12/15 03:05 ID:QRHRDk1p

「紺野ッ、早く!」
肩や腕がビル壁に擦れるのも気にならなかった。
大人ひとりがやっと通れるほどの隙間を手を繋いだままで走り抜け
る。急に圧迫感がなくなった。その先は隣接したビルの形に沿って、
ちょっとしたビルの谷間の空間が広がっていた。
丁度子供が遊ぶ公園の砂場くらいの広さだ。
電柱に括りつけられていたらしい捨て看板や灯油缶のようなものが
いくつも乱雑に置かれていた。物置のように使われているのだろう
か。その更に奥は、カオリの背よりも高いフェンスが張られていた。
通り抜けるとことは不可能。金網に手をかけて2,3度揺さぶった
カオリは、そう判断した。

あたり一面に油っぽい匂いが立ちこめていた。カオリたちの頭に吹
きつけてくるその生暖かい風の元を見上げると、中華料理独特の匂
いと鍋を叩く金属音、それから、中国語のけたたましい声が混ぜ合
わされて壁の換気扇から吹き出していた。


185 :カオリの境界線:02/12/15 03:12 ID:QRHRDk1p

破れてペラペラと中華の油臭い風に煽られる捨て看板の陰に隠れて、
息を殺す。腰をかがめたカオリの背に掴まるようにして、紺野も陰
に隠れた。
心臓の動悸が収まらない。胃袋を突き上げるような嘔吐感で、全身
の肌が粟立つ。極限状態の緊張感に眩暈がした。いまにも膝から崩
れ落ちてしまいそう。
膝の震えを紺野に悟られないように小さくその場にしゃがみ込んだ。
「飯田さん、飯田さん……」
紺野が、声を顰めて呼びかける。
「紺野、静かにして」
唇に指を立てて、シィーっと合図を送る。
「あのぉ、飯田さん……、シィーとか云わないで……」
「は? コレってマジでヤバイから、静かに隠れなきゃ、ね」
「でも、あの、ちょっと……」
「でも……、じゃないんだってば」とカオリは振り返った。
(この状況がわかってないの? ぜったいヤバイんだから)
「あの、あのぅ、おしっこ……」
「はぁぁ?? おしっこぉ?」
なんじゃそりゃ。……おしっこ、って。あたしゃ幼稚園の先生か?
状況にそぐわない紺野の言葉に瞬間、気が抜けた。が、突然の尿意
がこの緊張感から来るものなのかと思うと、気持ちのなかに締めつ
けられるものがあった。


186 :カオリの境界線:02/12/15 03:16 ID:QRHRDk1p

「我慢、出来ない? ちょっとの辛抱だから、お願い我慢して」
カオリの服の背を子供のように掴んだ紺野の指からふるふると
震えが伝わってくる。そっか、やっぱ怖いよな。
紺野はカオリが絶対に守ってあげなきゃ、絶対に、と改めて思う。
「どうしても我慢出来なかったら、そこの看板の陰でしちゃいな」
紺野の緊張をほぐすように、明るい調子で声を掛けた。
ふっと沈黙が落ち、一瞬の間を置いて、紺野が云った。
「あのですね、もう、出ちゃいました……でもちょっとだけです」
カオリの背に顔を埋めるようにして紺野は呟いた。
「飯田さんが、シィー、シィーって云うから……堪えられなくて」
「あっ」と思わず声を失った。かける言葉が見つからなかった。


187 :カオリの境界線:02/12/15 03:21 ID:QRHRDk1p

小刻みな震えとともに掛かる紺野の吐息は熱を帯び、布地を通じて
カオリの背中に伝わってきた。
紺野にこの恐怖の重圧は重すぎたんだ。恥ずかしくなんかないよ。
(紺野。カオリ、誰にも云わないから……紺野……ごめんね)
飲み込んだ言葉を探して、慰めを口にしようとした瞬間、
「でも、大丈夫ですッ!」
妙にきっぱりとした紺野の物云いに、「大丈夫って何が?」と反射
的に疑問符が口をついて出た。
「あのぉ、多い日も安心です。業界最長の40センチで後ろ洩れも
スーパーガードなんですッ。だから、大丈夫なんです、はい」
カオリの背中で、クスクスと声を顰めて笑う紺野。なんだよ、お漏
らししちゃって泣いてたんじゃなくて、笑いを押さえる震えだった
のかよ。
ふぅ、安心安心……良かった良かった、なんてひとりで頷いてる紺
野の、やたらのんびりとした声を聞いていたら、ちょっとだけカオ
リも落ち着いた。
(でも、大丈夫って云われてもなぁ……ま、確かにそうだけどさ)


188 :カオリの境界線:02/12/15 03:26 ID:QRHRDk1p

「あ、面白かったですか。よかった。わたしの冗談ってバカみたい
だって、友達によく云われるんです…。えへへ」
「なんだ、冗談だったのかよ。心配して損したよ」
まだクスクスと笑い続ける紺野に半ば呆れて、溜め息が出た。
でも、さっきまでの倒れてしまいそうな緊張から開放されたのは、
確かだった。胸のむかつきは、嘘のように鎮まってた。
「まったくもう…でも、お洩らししなくて良かったね」
「えと、あのぉ……」
「え? まだ何かあるの?」
「あ、あの、洩らしちゃったのはホントです。嘘じゃないです。
信じてください。……でも、ほんとにちょっぴりなんですけどね」
カオリの背中に人差し指で、『ホント、ホント』となぞるように
書いていた。くすぐったいんだってば、紺野。
「えっと、漏らしちゃったのはホントで、でも多い日も安心ですっ
ていうのは冗談で、だけど、スーパーガードなのはホントで……」
あれ? あれ? と説明してる自分が何を云っているかわからなく
なった風に、ひとりで首をひねっている気配が伝わってくる。
「もう、わかったからさ、紺野。いいから静かにしよっ、ね」
カオリの肩に掛けた紺野の手を肩越しにぽんぽんと軽く叩いて、懸
命に説明し続ける言葉を押しとどめた。


189 :カオリの境界線:02/12/15 03:33 ID:QRHRDk1p

なんだかこうやって紺野と物陰に身を潜めていると、子供の頃に戻っ
てかくれんぼして遊んでいるような錯覚を覚える。
男の子に混ざって毎日あたりが真っ暗になるまで遊んでいたあの頃
の感じがふわっと全身を包み込んでいた。
あの頃のかくれんぼは、上手に隠れれば隠れるほど淋しくなった。
鬼さんに見つけてもらわないと遊びは終わらない、そのことを子供
心に知っていたから。見つからないと家に帰れない……だから、夕
御飯の時間が近づくとわざと見つかりやすいところに隠れて、鬼さ
んに肩を叩かれるのを待ったのを想い出す。

でも、これはあの頃のかくれんぼじゃない。
絶対に見つかってはいけない、かくれんぼだ。
鬼に見つかったら……
家に帰れなくなるかもしれない『かくれんぼ』だった。
遊び、じゃない。遊びじゃないんだ。

手のひらに爪の跡がつくくらいに強く握った拳を固め、きゅっと目
つぶった。(神様、どうか見つかりません様に)祈りを込めて。
まぶたの裏の真っ暗な世界の向こう側にある微かな光を見つめて。


190 :カオリの境界線:02/12/15 03:39 ID:QRHRDk1p

目を閉じたカオリの敏感になった聴覚に危険な足音が微かに響いた。
アスファルトの舗道に靴底が擦れる音。
少し足を引きずるような不規則な足音が次第に近づいてくる。

そっと身を隠す立て看板から顔を出して、様子を窺った。
人影の途切れた舗道が細く切り取られた風景のなかに見える。
足音は、途切れてはまた現れ、また途切れ、不吉なリズムを刻んで
いた。(どうか、見つかりません様に)と、もう一度祈りを込めな
がら隠れようとしたカオリの視界の端に、あり得ないものが映った。

息を呑んで目をぎゅっと閉じた。それから、静かにまぶたを開いた。

それは、ビルの谷間の入り口からほんの少し入ったところに転がっ
ていた。黄色の輝きをそのままに、空き缶やガラス瓶の脇に身を顰
めるようにして落ちていた。
まあるく輝くオレンジの果実が、現実を無視するようにしてそこに
あった。バックからこぼれ落ちた果実が小さく輝きを放っていた。


191 :通りすがり作者:02/12/15 03:49 ID:QRHRDk1p

次、2、3日中に更新します。多分、きっと(カット)


192 :名無し募集中。。。:02/12/16 13:57 ID:GxwJeiVg
カオリ間抜けだねカオリ

193 :名無し募集中。。。:02/12/16 21:52 ID:VY+5sY1h
カオリ見つかっちゃうYO…
こんこん (;´Д`)ハァハァ

194 :名無し募集中。。。:02/12/19 15:16 ID:uB3U/i6x
ひまなので斜め読みしてみた。

195 :名無し募集中。。。:02/12/19 16:06 ID:j0bOhTI+
川 O・-・)<ほ・・・ぜ・・・ry

196 : :02/12/22 20:08 ID:KU11c5gu
ひまだからagetemiru

197 :名無し募集中。。。:02/12/22 23:04 ID:5w/MCVlP
暇だから加護の悪口言ってみる

白豚のくせに。
とっとと娘。辞めろ!

198 :名無し募集中。。。:02/12/24 12:26 ID:zWwepQcF
イヴなのに暇だというのはいかがなものでしょうか

199 :名無し募集中。。。:02/12/25 23:17 ID:61upgXmx
かおり待ち……

200 : :02/12/26 01:02 ID:xfwGzTLZ
暇すぎて200

201 :名無し募集中。。。:02/12/29 00:28 ID:QSSRAKd9
TV録画以外、年末年始って暇……

202 :名無し募集中。。。:02/12/30 23:30 ID:yiWYewB+
( ´D`)いいらさん、ののもひまなのでこのしょうせつにらしてくらさい。

203 :名無し募集中。。。:03/01/02 10:37 ID:q0jTHkJg
( ´D`)ノ おめ

204 :名無し募集中。。。:03/01/04 17:47 ID:CZgdDLWK
紺野 待ち ・・・

205 :名無しさん:03/01/05 02:27 ID:+9muWtld
        / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
Λ_Λ  | 君さぁ こんなスレッド立てるから          |
( ´∀`)< 厨房って言われちゃうんだよ             |
( ΛΛ つ >―――――――――――――――――――‐<
 ( ゚Д゚) < おまえのことを必要としてる奴なんて         |
 /つつ  | いないんだからさっさと回線切って首吊れ     |
       \____________________/

(-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ…
(∩∩) (∩∩) (∩∩)

(-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ…
(∩∩) (∩∩) (∩∩)

(-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ…
(∩∩) (∩∩) (∩∩)


206 :名無し募集中。。。:03/01/06 13:08 ID:nlt+WEvl
( ´D`)ノ ひま

207 :名無し募集中。。。 :03/01/09 00:14 ID:5hJsZ1vc
かおり保全しとくよかおり

208 : :03/01/09 16:22 ID:jR1d5QbM
一汁敷く暇

209 :山崎渉:03/01/10 04:39 ID:jP7jQFjA
(^^)

210 :山崎渉:03/01/10 17:00 ID:jP7jQFjA
(^^)

211 :名無し募集中。。。:03/01/13 20:23 ID:8xIdeY/J
保全

212 :名無し募集中。。。:03/01/13 22:07 ID:/BFVxngD
暇なので他スレを読んでたら誘導された。

213 :名無し募集中。。。:03/01/14 20:15 ID:FOGFYm4p


214 :名無し募集中。。。:03/01/15 23:50 ID:ja39MCyX


215 :名無し募集中。。。:03/01/18 16:44 ID:3gQx6Xl8
( ´D`)ひま

216 : :03/01/19 16:27 ID:JxQ+KXoD
 

217 :名無し募集中。。。:03/01/19 21:39 ID:M7Alri2e
hozen

218 :名無し募集中。。。:03/01/23 00:44 ID:0E4fviyO
ひまー

219 :名無し募集中。。。 :03/01/24 04:06 ID:6O7qbAsQ
かおりが来るまで暇だよ〜

220 :通りすがり作者:03/01/26 10:33 ID:lrzhiXIW

年明け挟んでこれだけ間が空いてしまうと、気まずくて倒れて
しまいそう。人として、ほんとどうなんだろう自分……。

反省しつつ、続き書いて逝きます。
保全してくださった方、ありがとうございます。心から感謝を。


221 :通りすがり作者:03/01/26 10:42 ID:lrzhiXIW

ビル影に切り取られて下弦の半月のようになった果実が、半分だけ
舗道の街灯に照らし出されて落ちてた。

反射的に息を呑んだ。喉の奥ですきま風が吹き込むような乾いた音
が鳴った。全身の血液が凍りついてた。あるいは沸騰しているのか
もしれない。総毛立つ感覚に指先が痺れていた。

立ち止まった…。歩き出した…。立ち止まった…。歩き出した…。

ビルの谷間をひとつひとつ透かすように覗き込んでいる姿がカオリ
の脳裏に浮かんだ。次第に近づいてくる跫音とオレンジの果実まで
の距離を目で測った。間に合うかもしれない。でも、間に合わなか
ったら…。どうする? カオリ…。取りにいく・行かない。間に合
う・間に合わない。行く? 行かない?
選べない……。膝を抱えたままの身体が、動いてくれない。
干し草とにんじんのあいだに挟まれて、どっちを食べたらいいのか
迷い続ける、のろまなロバみたいだ。カオリ、身体だけ大きくなっ
たのろまなロバだ。選べないよ。

見開いた目のふちから、涙がこぼれた。小刻みな肩の震えを押さえ
ることが出来なかった。ただバカみたいに、果実を見つめ続けてた。

突然にカオリの肩に掛かった紺野の手に力がこもった。
震える肩にそっと掴まってカオリの陰に隠れてた紺野が、すくっと
立ち上がる。そんな気配を感じた。


222 :通りすがり作者:03/01/26 10:50 ID:lrzhiXIW

唐突な紺野の行動に、止めるすべもなかった。
「あっ」と思う間もなく、立て看板の陰から飛び出した紺野は、
まるで落としたハンカチを拾いに行くような無防備な様子で、足元
の空き缶をつま先立って避けながら、入り口に向かっていった。
吊り橋を渡るようにひょこひょこと両手でバランスを取りながら歩
く姿は、なんだかそれを愉しんでいるみたいに見える。
オレンジの果実にあと少しで届く、というところで、くるりと振り
返ると固唾を呑んで見つめるカオリに向かって親指と人差し指を丸
めて、オッケー?のサインを作った。
半開きの口元を緩めて、いつものぽぉっとしたほんのり笑顔。
吊り橋を渡りきったところで、記念撮影……、みたいな雰囲気で。

「(は や く 戻 り な さ い)」
口だけ大きく動かして、目配せしながら必死で訴えかけた。
「(は い。 あ と ち ょ っ と で す)」
丸めた指先を少し離して『ちょっと』と合図を送って軽く頷いた。
静かに果実に手を伸ばす紺野の姿。息を詰めて見つめた。
(はやく、はやく、戻って…)
腰を屈めてオレンジを拾おうとした紺野の動きがぴたりと止まった。
(なにやってるの、紺野。はやくしなさいって)
そのままの姿勢でもう一度カオリの方を振り返ると、一瞬躊躇いを
見せたあと、フィルムを巻き戻すような動作で後ろ向きのまま素早
く戻ってきた。


223 :通りすがり作者:03/01/26 10:57 ID:lrzhiXIW

「バカ、なんで、せっかくあそこまで行ったのに止めちゃったの?」
声を殺して、囁く。あと少しだったのに、と思うと自分が動けなかっ
たことをそっちのけにして怒りが込み上げてくる。
「あの、飯田さんが『早く戻って来なさい』って云うから、戻って
来ちゃいましたよぉ。あ〜、あともうちょっとだったのになぁ〜」
頬を紅潮させて膝をコブシでとんとん叩きながらしきりに悔しがる。
「もうちょっとで取ってこれたのに、惜っしいなぁ〜……」
「あのさ……紺野、……」
「はぁい?」
きょとんと首を傾げてカオリの顔を覗き込む紺野を見てたら、もう
何も云えなかった。というか、怒る気もなくなってしまった。
「まったくもう、隠れてないとダメじゃない」
「あ、でも、絶対間に合うと思ったんですよ。ちょっと自信あった
んです。残念でした、ね」
耳元でコソコソ囁く息が、こそばゆい。
「もう、勝手に動いちゃダメだからね、紺野」
こくりと頷いて、カオリの背中で小さくなった。「ごめんなさい…」


224 :通りすがり作者:03/01/26 11:05 ID:lrzhiXIW

紺野が小声であやまるのとほぼ同時に、舗道から咳払いと鼻を啜る
音が響いた。盛んに地面に唾を吐き散らしている様子だ。
「かおりん、いねぇじゃん…」独り言のねばっこい呟きが聞こえた。
胃の辺りを片手で押さえて足を引きずる男の姿が目に浮かぶ。

カオリが見つめる舗道に、月明かりに照らされた男の影が落ちた。
慌てて看板の陰に身体を隠して息を殺した。
ふいに跫音が途絶え、咳払いと唾を吐く物音がやんだ。

立ち止まった…!

しばらく、しんと静まりかえった夜の気配だけが辺りに満ちた。
そのなかで、男の視線がカオリの隠れている看板を貫いて突き刺さ
ってくる。見られてる、感じがした。
耐え難い緊張感に、叫びだしてしまいそうだった。
あたまのなかでは、もう叫んでいた。低音から高音に、そして人の
耳には感じられないほどの甲高い叫びが……全身を突き破るように
飛び出しかけていた。このままだと気が触れたおんなのように、い
つまでも叫び続けてしまいそうな、ぎりぎりの狭間にいた。


225 :カオリの境界線:03/01/26 11:15 ID:lrzhiXIW

男の足元に転がるオレンジの果実。それをにやにやと笑いながら拾
い上げるその姿があたまのなかを駆けめぐった。絶対ばれる。ここ
に隠れてることが分かってしまう…。もう、きっとダメだ。
もしいま立て看板を押し倒しながら駆け出せば、ふいをついて逃げ
ることが出来るかも知れない。どうしようどうしようどうしよう。

衝動に駆られて、叫びながら立ち上がってしまいそうな、その刹那、
ふんわりと後ろから抱きすくめられた。
両手をそっとカオリの身体に回して、まるでその衝動を押しとどめ
るように、そして包み込むように、紺野は柔らかくカオリを抱きし
め、背中に頬を埋めていた。
暖かいぬくもりが背中越しに感じられた。湿った吐息が伝わる。

と同時にカオリをちりちりと焼き焦がすような視線の圧力がふっと
途切れた。ぐずぐずと鼻を鳴らす気配を残して、次第に遠ざかって
いくのが分かった。
ビルの谷間をそうやってひとつひとつ覗き込んでいるのだろうか。
全身の力が抜けた。詰めた息を細く長く吐いて、身体に回された腕
を上から抱え込むように胸の中で、ありがとう、と呟いていた。


226 :カオリの境界線:03/01/26 11:30 ID:lrzhiXIW

ビル壁を蹴りつけながら次第に遠ざかっていった。
全身の力が一気に抜けるような感じだった。腋の下に汗が滲んだ。
そのまますっかり気配が消え去るまでじっと動かなかった。動けな
かった。暫くすると膝から下が痺れて、ガクガクと震えが来た。
(よかったよぉ、カオリ、絶体絶命だったよ)
助かったんだという思いがようやく込み上げてきて、心の中で呟き
を洩らすゆとりさえ生まれた。
(今夜の話、楽屋で話したらみんなどんな顔するかな。なっちも矢
口も目を丸くして驚くだろうな。のんちゃん、食べかけのお菓子、
ポロポロこぼしながら心配してくれるかな? だっこしたののを抱
きしめて昔話を語るおばあちゃんみたいなカオリ。みんなが取り囲
んで、カオリを中心に輪が出来る様子が目に浮かぶよ……)
「いいださん、飯田さん?」
ほっと溜め息をつくカオリの肩を紺野が人差し指で突っつくように
叩いてた。「あの、飯田さん……」
「もう大丈夫だからねっ。気をつけて帰ろうね……紺野っ」
そう云いながら立ち上がろうとしたそのカオリの目の前に、紺野の
人差し指がすぅっと差し出された。
指先はそのまま真っ直ぐカオリの視線を貼り付けたままで、ビル
の入り口に向けられた。

さっきまで、ころんと転がっていたオレンジの果実が、跡形もなく
消えてた。そこには、なにもなかった。


227 :名無し募集中。。。:03/01/27 14:28 ID:DvNafFsX
ミステリーミステリー。

228 :名無し募集中。。。:03/01/27 23:25 ID:18Q1olhv
 

229 :山崎渉:03/01/28 13:59 ID:qb5eKxgn
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉 

230 :名無し募集中。。。:03/01/30 16:04 ID:SDOLexnU
保全

231 :名無し募集中。。。 :03/02/01 19:43 ID:Q9IjY0k3
かおり結構こわい話になってきたよかおり

232 :名無し募集中。。。:03/02/03 14:19 ID:+zOlKBmm
保全

233 :名無し募集中。。。:03/02/05 14:59 ID:ftyM6So0
暇なので読んでみた。

234 :名無し募集中。。。:03/02/07 14:20 ID:OLtSPldZ
氏ねや石川

235 :名無し募集中。。。 :03/02/10 20:57 ID:G9IYgqZD


236 :名無し募集中。。。:03/02/13 15:13 ID:lsgHoGdo
ho

237 :名無し募集中。。。:03/02/14 21:03 ID:ZCPWegVn
保全

238 :名無し募集中。。。 :03/02/17 01:13 ID:kxNKTQl3


239 :名無し募集中。。。:03/02/20 22:54 ID:XVINDfLL
hozen

240 :名無し募集中。。。:03/02/23 13:58 ID:IagZgNdR
保全

241 :名無し募集中。。。:03/02/25 15:42 ID:gbXP5pWG
○( ´?`)○

242 :名無し募集中。。。:03/02/26 22:51 ID:QqhiaRU9
ひま

243 :名無し募集中。。。:03/02/27 11:19 ID:Dka0HPGQ
ひま地獄

244 :名無し募集中。。。:03/03/01 09:21 ID:ryYkk5jo
ひまー

245 :名無し募集中。。。:03/03/02 15:21 ID:xMFQ4Cbv
いかん!シーツ買いに行かんと・・。

246 :名無し募集中。。。:03/03/02 16:39 ID:i49nbzeX
がーん

247 :名無し募集中。。。:03/03/02 18:55 ID:1NsBGNtt
をいをい

248 :名無し募集中。。。 :03/03/02 21:53 ID:ctRQwh/T
ひまだ。

249 :名無し募集中。。。:03/03/07 07:57 ID:q9n7MNDK
保全

250 :名無氏:03/03/12 01:50 ID:4Zz6i6cn
暇。。。

251 :名無し募集中。。。:03/03/12 11:41 ID:GFgY3PEH
ヒマヒマー

252 :名無し募集中。。。:03/03/12 15:13 ID:GFgY3PEH
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|∧∧
|・∀・)
|ιノ
|`J〜


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